- 2023/11/13 掲載
世界の銀行、ESG関連融資を見直し 規制圧力の高まりに対応
[ロンドン/ニューヨーク 10日 ロイター] - 世界の銀行はESG(環境・社会・企業統治)目標にコストを連動させたコーポレートローンを規制圧力の高まりに応じて見直している。
2017年に初めて使用された「サステナビリティ(持続可能性)・リンク・ローン(SLL)」は、企業が炭素排出削減や取締役会多様性向上などの目標を達成した場合、コストを通常約2.5─10ベーシスポイント引き下げた融資を提供するもの。貸し手自身のサステナブルファイナンスコミットメントにも算入される。
SLLが企業のグリーンクレデンシャル(環境への配慮に関する信頼性)を誇大化させるとの指摘がある中、規制当局は監視を強めており、銀行は企業が目標を達成できなかった場合、借入コストを引き上げるペナルティーを拡大している。
BNPパリバ・コーポレート・アンド・インスティチューショナル・バンキングの最高サステナビリティ責任者、コンスタンス・シャルチャット氏は、グリーンウォッシング(見せかけの環境対策)を生み出さないようにする必要があるとの考えを示す。
今年に大型のSLLを受けた仏エネルギー大手エンジーの広報担当者によると、直近の署名文書には解除条項が盛り込まれている。これは目標が適切でないと判断された場合、銀行が融資からサステナビリティに関連したラベルを取り下げるものだ。
複数のバンカーや弁護士はロイターに対し、銀行の基準強化により、一部の借り手はSLLの全面的な利用を思いとどまっていると語る。
LSEGのデータによると、SLL実行額は2023年に入ってからこれまでのところ3100億ドルと、22年の4800億ドルから36%減少。融資総額もこの期間に減少しているが、その幅は21%とそれほど大きくない。
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