- 2025/01/28 掲載
日経平均は下げ渋り、「ディープシーク」は局地的リスクの受け止めも
Noriyuki Hirata
[東京 28日 ロイター] - 28日の東京市場では、中国のAI「ディープシーク」への警戒感が継続し、日経平均は一時大幅に下落した。一方、全面安とはなっておらず、日経平均は下げ渋り、TOPIXはプラスに転じた。内需株への資金シフトもうかがわれ、市場では、ひとまず局地的なリスクとの受け止めが広がってきている。
日経平均は、指数寄与度の高いアドバンテストや東京エレクトロンなど半導体関連株の下げが主導して一時約680円安の3万8800円台後半に下落した。中国の新興企業ディープシークが公開した新しいAI(人工知能)モデルの台頭が、エヌビディアや関連銘柄を中心に日米の半導体関連株の大幅安につながった。
為替市場でも、米株に対して強気に傾き過ぎていたため、その巻き戻しが入る可能性があるとして「米国を中心とするリスクオフが続くかもしれず、ドル/円も上値が重くなる」(りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジスト)との見方がある。
<下げ渋る動き、パニックは回避か>
もっとも、日経平均は売りが一巡した後は下げ渋っている。市場では「指数はいまのところ高値圏からの調整にとどまっている。一段と売りが強まるかは見極めが必要だが、米国市場である程度消化したとみていいのではないか」(岡三証券の松本史雄チーフストラテジスト)との見方が聞かれる。ドル/円の持ち直しや時間外取引のナスダック先物が小幅高で推移していることは、投資家心理の支えになっているとみられる。
朝方のドル/円は前日の日中から約1円50銭のドル安/円高水準となる154円前半だったが、155円前半へと徐々に水準を切り上げている。債券市場では「足元ではドル/円が153円台で下げ止まったことを踏まえると影響は一巡しているとみられ、米金融政策に影響を与えるものではないだろう」(関西みらい銀行の石田武ストラテジスト)との声がある。円債は米債券高に追随する格好で多少買われるものの、長くは続かないと石田氏はみている。
<インバウンドや賃上げに市場の視線は移行も>
東証プライム市場の値上がり銘柄数は7割で、値下がり銘柄の2割強より多い。半導体関連株から銀行や不動産、サービスなどへの資金シフトが観測され「春節を控えてインバウンド関連株に資金が向かっているほか、賃上げに向けて前向きな話が出てくる時期でもあり、内需株全般に関心が向かいやすい」(三木証券の北沢淳商品部投資情報グループ次長)という。
局地的なリスクであり、経済全体に不安が出てきたわけではないとして「半導体関連以外のセクターに資金がしっかり回っており、株式市場から資金が抜けているわけではない」と、三木証券の北沢氏は話している。
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