- 2025/03/07 掲載
独の債務抑制見直し、来週下院で審議 新議会発足前の可決目指す
次期政権樹立に向けて連立交渉をしている保守連合キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)とショルツ首相の社会民主党(SPD)は憲法を改正し、国防費を債務を一定水準に抑制する「債務ブレーキ」規則の対象から除外したいと考えている。両党は今週、政府借入規則の改正とインフラ基金創設で合意した。
緑の党のミハリチ議員は、下院の臨時議会が13日と18日に予定されていると述べた。可決を急ぐのは、25日に発足する新議会では第2党に躍進した極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と急進左派が可決を阻む可能性があるからだ。
財政の健全性を重視してきたドイツにとっては大きな方向転換となる。CDU・CSUとSPDの議員グループ向けに用意された提案草案によると、インフラ基金創設は債務の対国内総生産(GDP)比率を現在の約64%から約12ポイント押し上げる可能性がある。同文書は、欧州の安全保障の状況が「劇的に変化した」と指摘し、2022年にロシアのウクライナ侵攻を受けて承認された1000億ユーロの特別防衛基金ではもはや軍近代化に十分でないとしている。
CDU・CSUとSPDは緑の党の支持を必要としているが、同党はまだ態度を明らかにしていない。
ミハリチ氏は「重要な疑問が依然不明瞭だ」と述べ、安全保障分野により多くの資金を投入する根拠など、さらなる情報を緑の党は求めるとした。「気候対策向けの資金が全くないのも理解できない」とも述べた。
親ビジネス政党の自由民主党(FDP)は、国防費の増額は支持するが、インフラ基金は支持しないとしている。AfDは急進左派政党と共同で法的措置を取る構えを見せている。
ドイツは「債務ブレーキ」を改革して投資を促進し景気押し上げにつなげるべき、との声は以前から投資家や一部のエコノミストから出ていた。
専門家委員会は別途、債務ブレーキの近代化案を作成する予定。
今回の動きを多くの企業は歓迎している。財界では役所手続きの簡素化を求める声も多い。
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