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- 2026/06/14 掲載
「私は決してあきらめない」12兆円IPOに秘めたイーロンマスク「SpaceX壮絶創業秘話」
2002年の設立から2008年の民間初の打ち上げ成功までの軌跡
すべてはイーロンマスクの「火星への夢」から始まった
SpaceX設立の端緒は、イーロン・マスクが構想した火星への小型温室輸送プロジェクトにある。PayPalをeBayに売却したことにより巨額の資金(約16億5000万ドル)を得たイーロン・マスクは、長年の夢であった宇宙への挑戦を実行に移すことになる。マスクは当初火星の表面で植物を育てる実験を行い、それによりアポロ計画以降停滞していた宇宙開発に対する人類の夢や希望を再び呼び起こそうと考えていた。マスクの頭には、人類の生活圏を地球以外へと広げ「他惑星種」と進化させる壮大なビジョンがあった この計画を実現するためマスクは自らロケットを開発するのではなく、ロシアから旧ソ連軍の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を転用した安価なロケットを購入する計画を立てた。
交渉のため数回にわたりモスクワに渡ったマスクであったが、現地の関係者からは宇宙開発の素人として扱われ、ウォッカを飲みながらの会合で法外な価格を提示されたうえに、唾を吐きかけられるという扱いを受け、交渉は決裂した。この屈辱的な経験が、マスクに独自のロケット開発を決意させる転機となる。
マスクはロシアへ行く前から、宇宙工学やロケットに関する本を読み漁り、すべて暗記するほどの猛勉強をしており、すでに専門家レベルの知識を身につけていた。帰りの航空機内で、マスクは独学で得た宇宙工学や物理学の知識をもとに、ロケット製造にかかるコストをゼロベースで算出した。当時の一般的なロケットの市場価格に対し、アルミニウム合金、チタン、銅、炭素繊維といった純粋な原材料費を計算した結果、材料費は全体のわずか2%に過ぎないという事実を導き出していた。
既存の航空宇宙産業が抱える多重下請け構造や、官僚的で非効率な製造プロセスが、ロケットの価格を不当に押し上げていると判断したマスクは、部品の大規模な内製化と徹底的なコスト削減によって、低価格のロケットを実現できると確信した。業界の常識を根底から覆すため、マスクはTRW社などからエンジニアを引き抜き、自らもチーフエンジニアとして現場を指揮する体制を構築した。
こうした既存の商慣習や常識にとらわれず、物事を最も基本的な「疑いようのない真実」にまで分解し、そこから論理的に思考を組み立て直す「第一原理思考」は、SpaceXとイーロンマスクの揺らぐことのない企業理念へと昇華していく。
各分野の専門家に対して執拗に質問を繰り返し、自らの知識をアップデートしながら、従来の航空宇宙企業とは全く異なるシリコンバレー式のアジャイルな開発手法を取り入れた。こうしてイーロン・マスクとSpaceXは民間初のロケット打ち上げという壮大な目標に向かって動き出すことになる。
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