- 2025/03/12 掲載
混乱の責任、免れず=「ゴーン後」の再建、道半ば―日産・内田氏
2019年からトップを務めた日産自動車の内田誠社長が、3月末で退任することが決まった。ホンダとの統合協議破談や業績低迷など、混乱を招いた責任を免れられなかった。元会長カルロス・ゴーン被告失脚後の混迷からの脱却にめどが立たぬまま、道半ばでトップの座を退く。
日産は18年のゴーン被告の会長解任から1年もたたずに西川広人前社長も不正報酬問題で辞任した。内田氏は混乱のさなかに就任。日産は直後の20年3月期連結決算で構造改革費用などの計上で6712億円もの巨額赤字に転落した。
一方、「新たな顔」と位置付けた電気自動車(EV)「アリア」をはじめゴーン体制下で滞っていた国内市場への新車投入を積極化。24年3月期連結決算は円安の追い風も受けつつ過去最高益を達成。仏ルノーと資本関係を対等にする見直しを実現した他、その後の経営統合協議にもつながるホンダ・三菱自動車とのEV分野での協業など「EV新時代」への布石に腐心した。
ただ、24年度に入ると、北米市場でハイブリッド車(HV)の車種不足が露呈し急減速。中国でも現地メーカーとの価格競争に苦しむ。25年3月期連結決算は800億円の赤字に転落する見通しで、2カ月足らずで決裂したホンダとの統合協議を巡るかじ取りでも「交渉下手」(日産幹部)と社内から批判が出ていた。
今回、指名委員会は構造改革のかじ取りを商品企画担当責任者のイバン・エスピノーサ氏に委ねた。内田氏は11日のオンライン記者会見で「こうした状況でのバトンタッチで、じくじたる思いだ」と唇をかんだ。
木村康取締役会議長が「(エスピノーサ氏にとって)厳しい船出だ」と指摘したように、今後も日産の難局は続く。2月に一部発表された構造改革について、自動車ジャーナリストの国沢光宏氏は「『全部うまくいけば』という前提の、夢物語のようだ」と批判した。
今後は、いったんは物別れに終わったホンダによる出資受け入れの協議も視野に入る他、台湾の電子機器製造大手・鴻海(ホンハイ)精密工業も出資に関心を示す。「再編第二幕」の波も迫っており、日産の混乱は当面終わりそうにない。
【時事通信社】 〔写真説明〕オンライン記者会見で厳しい表情を見せる日産自動車の内田誠社長=11日
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