- 2025/05/22 掲載
インタビュー:トランプ関税の影響、当初想定より2割縮小=コマツ社長
[東京 22日 ロイター] - コマツの今吉琢也社長は、トランプ米政権の関税措置が同社の業績に与える影響について、当初の見込みより約2割小さくなるとの見方を示した。米中貿易戦争が「休戦」したことで、影響は限定的になりつつあるという。ロイターとの単独インタビューで明らかにした。
コマツが4月に公表した2026年3月期の連結純利益(米国会計基準)は前年比約30%減の3090億円になる見通しで、関税のマイナス影響は943億円と織り込んだ。今吉氏は、米中両政府が相互に課していた追加関税を90日間引き下げることで合意したことに触れ、これにより「200億円弱影響は小さくなる」と述べた。
コマツの海外売上高比率は約9割で、うち北米が3割弱を占める最大市場となっている。米国向けの機械は、約半分を現地で生産し、残りの半分は主に日本、タイ、ブラジルから輸入しているほか、中国からも鋳物などの部材を調達している。
今吉氏は、米国で生産する鉱山機械の主要な輸出先であるカナダをはじめ各国の報復関税を懸念していたが、想定していたほど悪くないといい、「影響は限定的。少し安心している」と話した。
中期的な供給体制の見直しも進める。一般建機については、米国経由でカナダに輸出していた製品を、直送する形にすでに変更。中南米向け製品についても直送化も視野に入れている。関税は東南アジア諸国にも適用されているが、例えば中国でタイ向けを生産し、タイで米国向けを生産など、工夫することで関税の差により負担を軽減できる可能性があるとし、今後の動向を見つつ、検討していく。
一方で、米国の生産拠点を安易に拡大する考えはないという。「米国の鋼材価格は圧倒的に高く、競争力がなくなる」と述べ、関税だけを理由に生産を米国へ移すことはないと説明した。
コマツは、4月に社長に就任した今吉氏の下で、28年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表した。財務目標にフリーキャッシュフローを新たに導入し、3年間で累計1兆円の創出を目指す方針を掲げている。
この資金は、成長投資と株主還元にバランスよく活用していくとし、機会があれば企業買収にも充てる考え。今吉氏は、特に、電動化に対応する技術や自動化をはじめとするソフトウエア領域の拡充に向けては、買収も含めた強化が必要との認識を示した。
※インタビューは21日に実施しました。
(浦中美穂、小宮貫太郎 編集:久保信博)
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