- 2025/06/19 掲載
日鉄によるUSスチールの買収完了、米政府が黄金株保有
Ritsuko Shimizu
[18日 ロイター] - 日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収が18日、完了した。両社が日本時間同日発表した。経済安全保障への影響を懸念する米政府が、USスチールの黄金株を保有するなどして重要な決定事項に関与する。
日鉄は買収金額141億ドル(約2兆円)の払い込みを終えた。今年度は7月からの9カ月分を連結業績に反映する。日鉄はグループの年間粗鋼生産能力が8600万トンに達し、グローバル粗鋼生産能力1億トンという目標に近付くことになる。
日鉄は19日午前10時から、橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)と森高弘副会長が記者会見を開く。
トランプ米政権は6月14日に買収を承認。日鉄は米政府との間で国家安全保障協定(NSA)を結ぶとともに、USスチールは米政府に黄金株1株を発行することとした。米政府はUSスチールの独立取締役1名の選任権やコミットした設備投資の削減、米国内の競合事業の重要な買収などに一定の権利を有することになる。
NSAの下、日鉄は2028年までに約110億ドル(約1兆6000億円)の設備投資を行うほか、USスチールは米国法人として存続し、本社はペンシルバニア州ピッツバーグに維持する。USスチールの取締役会の過半数は米国籍とし、最高経営責任者(CEO)を含む経営陣の中枢メンバーは米国籍とすることなどを約束した。
また、米国内の製造拠点における鉄鋼生産・供給能力を維持。USスチールによる米国法に基づいた通商措置への妨害・禁止・干渉は行わないとした。
日鉄は23年12月に買収計画を発表したが、24年11月の大統領選挙を控え米国内で政治問題化。国家安全保障への影響を理由に当時のバイデン大統領が中止命令を出したが、トランプ現大統領が判断をひっくり返した。
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