- 2026/08/10 07:10 掲載
Microsoft Copilot「一律導入」はNG? 費用対効果バツグンの「ライセンス使い分け術」
なぜ“使い続けたい”のに動かない? 本番展開を阻む技術的負債
ガートナーの調査によれば、Copilotユーザーの90%が使い続けたいと考え、会議の要約などに活用している。しかし同時に、72%が日々の定型業務への組み込みが困難だと回答した。この乖離が示すのは、従業員の満足度は高いものの、投資に見合う効果を得ることは難しいという現実だ。もう1つの大きな課題がセキュリティである。IT部門を対象とした調査では、64%がセキュリティリスク軽減に多大な時間を要すると答え、40%が実際に本番展開が大幅に遅れたと報告した。
これらの問題の多くは、Copilot自体の問題ではない。むしろ、既存のMicrosoft 365環境で以前から放置されてきた課題で、言い換えれば、権限の設定がきちんとされていなかったり、機密ラベルが付けられていなかったりするという「技術的負債」が顕在化したものである。
2024年だけで125を超える新機能が追加されたことも、ユーザーが使いこなすことを難しくしている。「Copilotはまだアルファ版やベータ版のような製品。継続的な実験に参加しているようなものです」とドラコス氏は指摘する。
また、活用促進の面でも課題がある。IT部門の87%が、Copilotの導入は自動的には進まず、ユーザーへの継続的なサポートやトレーニングが必要だと回答している。では誰がこれを担うのか。IT部門の81%は、活用促進はビジネス部門が担うべきだと考えている。こうした背景から、多くの組織でユーザーへの展開率は20%未満にとどまっているのが現状である。
2028年に業務の15%をAIが決定? 無料版強化の裏に潜む課金の分岐点
2025年、マイクロソフトはCopilot戦略に大きな転換を加えた。最も注目すべきは、無料版Copilot Enterprise Chatの大幅強化である。OpenAIのGPT-4とGPT-5へのアクセスが可能になり、ライセンスを持たないユーザーでもエージェントの作成、検出、利用が可能になった。マイクロソフトはすでに文章作成支援などの基本的なエージェントを提供しているほか、契約レビューなどの用途向けにカスタマイズ可能なテンプレートも用意している。さらに、すべてのSharePointサイトに事前構築されたエージェントが付属する。
エージェント利用は従量課金制で、メッセージ単位で料金が発生する。ドラコス氏の試算では、ユーザーが1日13メッセージを20営業日利用すると、フルライセンスの月額料金相当となる。それ以上の利用が見込まれる場合は、フルライセンスを購入したほうが経済的ということだ。
マイクロソフトがこの戦略転換を行った背景には、エージェント利用の収益をAzure売上として計上し、AI事業の成長を示す狙いがある。また、エージェント型アーキテクチャーへの移行で先手を打ち、競合他社の参入を防ぐ狙いもある。
2025年は比較的シンプルなエージェントが主流だが、2026年に向けて、ワークフローへの参加や他のアプリケーションとの連携、自動的な処理の実行など、より高度な機能を持つエージェントが登場する見込みだ。
ガートナーは、2028年までにエンタープライズ・ソフトウェアの33%にエージェント型AIが組み込まれ、日常業務における意思決定の少なくとも15%が自律的に行われるようになると予測している。 【次ページ】「全従業員に一律配布」は無駄? 費用対効果を引き出す“ある方法”
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