• 2025/06/20 掲載

巨額投資と黄金株で買収完遂=自ら提案、経営リスクにも―日鉄

時事通信社

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米政権に翻弄(ほんろう)された日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収劇は、日鉄が目指してきた完全子会社化の実現で終幕を迎えた。中国の過剰生産によるアジアの鋼材市況低迷や、人口減による国内市場の縮小に見舞われる中、米国はインドとともに海外事業拡大の要に位置づけられる。USスチール買収を「千載一遇の好機」(橋本英二会長)とみた日鉄は、巨額の投資積み増しに加え、「黄金株」の発行も自ら提案。トランプ大統領を翻意させ、買収を完遂した。

19日の記者会見で橋本氏は、USスチール買収が「当社が世界一に復権するために必要な戦略であると同時に、USスチールが再生していく唯一の方策だ」と断言した。だが、買収費用や、米政府の関与を認める経営構造に加え、確約した1兆6000億円規模の投資が、コストに見合うリターンを生むかは見通せない。

米国市場は安定した成長が見込め、電気自動車(EV)向け高級鋼の需要も期待できる。欧州に子会社も持つUSスチールを買収すれば「グローバルネットワークが一気に完成する」(橋本氏)。技術革新が遅れ、粗鋼生産量で世界29位に沈むUSスチールにとっても、日鉄による買収と巨額投資は渡りに船だった。

だが、かつて世界最大を誇った「米国の象徴」の買収計画は全米鉄鋼労組(USW)やトランプ氏、バイデン前大統領の反対を招き、政治問題化した。日鉄は、これらの障害を乗り越えるため、米国政府が投資実行を直接監督できる、黄金株という形を提案せざるを得なかった。

橋本氏は「経営の自由度は確保されている」と主張する。しかし、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、「黄金株により米政府の意向に経営が左右される不確実性がある。巨額投資が合理的なのかも不透明だ」と指摘する。その上で、「日鉄はそうしたリスクと引き換えにしてでも、米国市場への大きな足掛かりを得ることを選択したのだろう」と分析している。

【時事通信社】

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