• 2025/07/02 掲載

焦点:25年下半期幕開けで、米国株が直面する6つの疑問

ロイター

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Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 1日 ロイター] - 米国株式市場は、ジェットコースターのように激しく変動した2025年上半期を記録的な高水準で終えたが、下半期には株価を押し下げる可能性のある要因も複数控えている。

指標となるS&P総合500種株価指数は、トランプ米大統領が「解放の日」と称して貿易相手国への「相互関税」の導入を発表したことに端を発する4月の急落から持ち直し、今年に入ってから5%超上昇している。25年下半期の幕開けに当たり、米国株の投資家が直面する主な疑問を列挙する。

<関税は「実害」か「脅し」か>

トランプ氏が打ち出した関税強化で最悪の事態となる懸念は和らいでいるものの、米国が今後数週間で貿易協定をまとめようとする中で、目先の相場は変動がさらに激しくなる可能性がある。「相互関税」の上乗せ分の一時停止は今月9日に期限を迎えることになっており、期限が厳守された場合には株価にとって下半期早々の試金石となるかもしれない。

最も高水準に設定された関税の一部が撤廃されたとしても、25年の実効関税の上昇はインフレ率を押し上げ、企業利益と個人消費を減少させる可能性がある。ゴールドマン・サックスのアナリストらは先週、発表された政策に基づく米国の実効関税率は年初の3%から13%へ上昇したことを明らかにした。

25年第1・四半期に好調だった米企業の利益は、トランプ関税による影響を米金融市場が適切に織り込んでいるのかどうかを評価する重要な指標となるだろう。LSEG・IBESがまとめたデータによると、S&P総合500種構成企業の第2・四半期の利益は前年同期比で5.9%増と見込まれている。

<FRBはいつ利下げするのか>

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は利下げを見送る理由として、関税がインフレ率を押し上げるとの懸念を挙げている。それでもLSEGのデータによると、フェデラルファンド(FF)金利先物は年内に3回程度の利下げを織り込んでおり、次の利下げ決定は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)になるとの見通しだ。

FRBとパウエル氏は、トランプ氏による利下げ要求の集中攻撃に耐えている。トランプ氏は、パウエル氏の議長としての任期が満了となる26年5月よりかなり前に後任議長を選ぶと示唆している。この動きは一段の利下げ観測を高める可能性があるが、FRBが独立性を保てるかどうかを懸念する市場に動揺をもたらす恐れもある。

米国経済の軟化もFRBに利下げを促す可能性があり、労働市場に軟化の兆しが見られることから、今後発表されるデータは資産価格にとって試金石となる。6月の雇用統計は今月3日に発表される。

<巨大ハイテク企業が復権か>

年初の荒い値動きから一転し、ハイテク株とグロース株が市場で主導権を取り戻した。ハイテク株は2025年第2・四半期にS&P総合500種で最も好調な業種となり、「マグニフィセントセブン」と呼ばれる超大型ハイテク7銘柄は4月の安値から大きく上昇している。

こうした相場動向を受け、比較的少数の大型株が相場をけん引しているという懸念が再燃した。多くの投資家は依然、より多くの銘柄が市場全体の上昇を支えるようになると予想している。

S&P総合500種の構成銘柄の平均的なパフォーマンスをより反映した「イコールウエート」指数は、25年に入ってから4%近く上昇している。

ノースウェスタン・ミューチュアル・ウェルスマネジメントのブレント・シュッテ最高投資責任者(CIO)は「相場が上昇を続けるには、より幅広い銘柄の上昇が必要になるだろう」との見方を示す。

<株価はどこまで上昇するのか>

市場の回復に伴い、株式のバリュエーションも上昇している。S&P総合500種が4カ月超ぶりに過去最高値を更新した6月27日、構成銘柄の業績見通しに基づく株価収益率(PER)は22.2倍に達した。これは2月以来の高水準で、長期平均の15.8倍を大きく上回った。

投資家は株式の価値を見極めるために、2026年の利益が大幅に改善するかどうかといった将来の利益見通しに注目するようになっている。S&P総合500種に組み入れられた企業の利益は25年に前年比で8.5%、26年に14%それぞれ増えると予想されている。

もう一つの要因は米国債の利回りだ。国債利回りが上昇すると、株式バリュエーションを圧迫する傾向がある。国債利回りは今年に入ってから落ち着いているが、10年債利回りが急上昇すれば、株式投資家は動揺する可能性がある。例えば米議会で大規模な減税を盛り込んだ財政法案が可決され、財政赤字拡大への懸念が高まった場合などだ。

<「米国の例外主義」への疑念は株価を圧迫するか>

米国資産の魅力への疑問は2025年に世界的なテーマとなった。4月にトランプ氏が発表した輸入品への驚くべき関税措置が引き金となり、米国の政策に対する不透明感が広がった。米ドルは最近、主要通貨バスケットに対して約3年ぶりの安値を記録した。

他地域を圧倒してきた米国株は、今年に入ってから主要な外国株に後れを取っている。米国以外の株式は全般的に依然として割安で、年後半にかけて米国株とどちらが優勢になるかが注目されている。

<地政学的リスクは再燃するか>

最近のイスラエルとイランの間の紛争では、緊張が落ち着くまで株価は一時的に下げた。アナリストは中東で敵対行為が再開されれば、株価が再び大きく変動する可能性があると警戒している。特に原油供給の制約が生じ、原油価格が1バレル=100ドルを超える水準に高騰した場合は、その影響が大きくなるとみられる。

バークレイズのストラテジストらは最近の顧客向けのメモで、過去30年間に地政学的不安の高まりが米国株のリターンに逆風となることはほとんどなかったと指摘した。しかしながら、「地政学的リスクの再燃はボラティリティーを上昇させ、現在の対立が激化すれば、リスク資産は一般的に脆弱になる」と付け加えた。

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