- 2025/07/04 掲載
ECB、世界貿易巡る不確実性に警戒 6月理事会の議事要旨
ECBは6月の理事会で、預金金利を2.0%とすることを決定した。2024年6月以降、8回目の利下げとなった。その上で、インフレ率が目標水準付近まで下がったほか、米政権の貿易政策によって不確実性が高まっていることから、追加利下げの一時停止を示唆した。
議事要旨で「理事会メンバーは世界経済が依然として極めて見通しにくいと強調した」と指摘し、「貿易を巡る不確実性の高まりは当面続き、拡大や深刻化する可能性がある」と述べた。
市場では年末までの利下げ観測は1回のみで、一時停止の可能性は足元で強まっている。
議事要旨は、世界経済が「4月と5月の指標で既に減速を示している」とした上で、6月の利下げは「インフレ率が目標を長期にわたって下回らないように」するものと説明した。
ECB政策決定者の多くはインフレ目標が実質的に達成されたと主張しているものの、フィンランド、ベルギー、ポルトガルの各中銀総裁は、インフレ率が過度に低下するリスクを指摘している。物価上昇率は25年後半から1年半程度はECB目標の2%を下回って推移すると見込まれている。
議事要旨では、外国為替市場でのユーロ高についても言及された。ユーロは市場が不安定になると対ドルで下落する傾向があるが、今年は対ドルで約14%上昇。特にこの約3カ月間は市場が不安定な動きを示した際の上昇が目立つ。ECBは「ユーロが安全通貨としての役割を果たしているようだ」と指摘。一方、ユーロ高は輸出への重荷となるとも指摘した。
トランプ米大統領の貿易措置に伴う4月の市場混乱の際に示されたユーロ圏の国債市場の底堅さを「注目すべき」と評価した。その一方で、グローバル化の逆行や経済のグリーン転換、世界人口の高齢化などに伴う、将来的なインフレ圧力の高まりには警鐘を鳴らした。
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