• 2025/08/02 掲載

関税影響、緩和に安堵も霧晴れず=中小企業「どうしようもない」―アジアでも打撃、価格転嫁必要

時事通信社

photo
  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。


トランプ米大統領は日本への相互関税について、事前通告した25%から引き下げ、15%とする大統領令に署名した。日米関税交渉の合意に基づき、自動車関税も15%(現在27.5%)に引き下げられる見通し。想定より負担が軽減されることに、中小企業からは安堵(あんど)の声も漏れる。ただ、自動車関税引き下げの実施時期は不明な上、米側は再引き上げも示唆。霧が晴れたとは言えない状況だ。

「正直、ほっとしている」。東京都大田区でダイヤモンド工具を製造するインターナショナルダイヤモンドの江口国康社長は胸をなで下ろした。同社の主要取引先は自動車部品の切削・研磨機械のメーカー。トランプ氏が大統領選に勝利した後、昨年12月ごろから自動車業界では高関税政策への警戒感から国内投資を手控える動きが続き、同社も受注は1~2割減少した。

日米合意で先行き不透明感が和らいだことで「メーカーも投資計画を決められる」と期待するが、米側は「トランプ氏が(日米合意の履行に)不満であれば、25%の関税を再び適用する」(ベセント財務長官)と威嚇するなど楽観はできない。

江口氏は「景気や関税は、われわれにはどうしようもできない」と吐露。政府に、物価高や人件費上昇に苦しむ中小企業への支援策を求める一方、円安の恩恵を受ける自動車メーカーも取引先の価格転嫁要請を受け入れてほしいと訴える。

米関税政策がアジア企業との取引に間接的な影響を及ぼしていると明かすのは、衣料品などの繊維加工機械を製造するAIKIリオテック(愛知県稲沢市)。トランプ氏がアジア諸国に高関税を突き付けたことで、同地域の取引先が設備投資計画を延期したり、「出荷の先送りを求められたりしたこともある」(友松義博副社長)と話した。

近年の日本食ブームに乗り、昨年度の日本酒の対米輸出額が過去最高と好調だった酒造会社も、相互関税のあおりを受ける。当初想定よりも低いが、4月に課された一律分の10%からは5ポイントの引き上げとなり、ほぼ無税だった3月以前と比べれば高水準であることに変わりはない。

海外販売の半分を米国向けが占めるという八海醸造(新潟県南魚沼市)の担当者は「今後の米国市場の動向や消費者の反応を注視している」との姿勢を示した。米国以外の販路の一層の拡大も検討する。

【時事通信社】 〔写真説明〕米国の関税政策の影響に関し取材に応じるインターナショナルダイヤモンドの江口国康社長=7月28日、東京都大田区

評価する

いいね!でぜひ著者を応援してください

  • 0

会員になると、いいね!でマイページに保存できます。

共有する

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

  • 0

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます