- 2026/06/29 掲載
【Copilot】マイクロソフト自身も「効果に驚愕」Work IQの正体、賢いAIに育てる秘訣
連載:Copilot for Microsoft 365で変わる仕事術
1983年生まれ、秋田県出身。2010年に自社のMicrosoft 365(当時BPOS)導入を担当したことをきっかけに、多くの企業に対してMicrosoft 365導入や活用の支援をはじめる。Microsoft 365に関わるIT技術者として、社内の導入や活用の担当者として、そしてひとりのユーザーとして、さまざまな立場の経験から得られた等身大のナレッジを、各種イベントでの登壇、ブログ、ソーシャルメディア、その他IT系メディアサイトなどを通じて発信している。
筆者がここ数カ月で実感した「使い心地」の大きな変化
筆者自身、ここ数カ月でCopilotの使い心地が大きく変わってきたと感じています。以前は、Copilotに何かを頼んだときに、期待と違う回答が返ってきて「そうじゃなくて……」と言い直しをすることが度々ありました。それが最近では、すぐに欲しい回答が返ってくる頻度が明らかに増えています。自分の仕事の内容や事情を理解した上で答えてくれている感覚があり、Copilotに対してゼロから説明する必要はなくなりました。
そしてそれは、機能的な便利さだけではなく、使い心地にも大きく影響を与えています。Copilotが自分のことを、そして仕事のことを、よく知ってくれているという感覚から得られる気持ち良さがあります。まさに、一緒になって仕事をしているという感覚に近づいてきているように思えます。
ただしこうした体感は、日頃からMicrosoft 365を利用し、さらにCopilotを習慣的に使い続けていないと、なかなか感じづらいものかもしれません。逆に言えば、使い続けてきたからこそ、初めて今のCopilotの良さも見えるようになり、体感できているということです。
そしてこの「分かってくれている」の正体がWork IQです。
Work IQとは? マイクロソフト自身も「効果に驚愕」した正体
2026年6月、マイクロソフトの年次開発者向けイベントである「Microsoft Build」が開催されましたが、多くの発表があった中で、注目を集めたものの1つは「Microsoft IQ」でした。Microsoft IQは、CopilotやAIエージェントが組織の情報を理解するための統合的な知識や知性の基盤となるものです。いくつかの要素で構成されますが、Microsoft 365 Copilotユーザーに直接関わりが深いのは「Work IQ」と呼ばれる部分です。いまやAIチャットのサービスは数多くありますが、Microsoft 365の中で蓄積された業務データや文脈を理解した上で回答を返せるのは、このWork IQの基盤を持つCopilotならではの特徴です。ここで知っておきたいのは、Work IQ自体は今回のBuildで発表された新機能ではないということです。
またWork IQは、ユーザーがCopilotに追加して利用する機能ではありません。マイクロソフトは、これを日々のやり取り(メールや会議、チャットなど)を基にした「働き方のインテリジェンスレイヤー」と呼んでいます。Copilotがユーザーや組織に合わせた回答を返すための、裏側にある頭脳のような存在です。ユーザーは意識することなく、このWork IQを活用し動くCopilotを利用していることになります。
CopilotはWork IQにより、ユーザーが仕事で作成したファイルやメール、チャット、会議などの情報のほかに、どんな同僚と一緒に働くことが多いのか、どのようなプロジェクトが進行中かといったアクティビティも含めて推論することができます。さらには、ユーザーが過去にCopilotとの会話で伝えた好みや指示までも含めて、仕事の文脈として総合的に理解する仕組みです。
Work IQの効果について、マイクロソフトの社内IT部門のブログに興味深いエピソードが紹介されていました。社内でCopilotを運用していたところ、特にコンテンツを追加したわけでもないのに、品質や満足度の指標が上がった時期があったそうです。なぜだろうと調べたところ、それがWork IQによる一連の改善によるものだったというわけです。
この話からは、マイクロソフト自身もその効果に驚いている様子がうかがえます。ユーザーが何をしたわけではなくとも、裏側のWork IQの改善により目に見えてCopilotが賢くなっていたのです。
なぜWork IQは「急速に進化」したのか?
では、Copilotの裏側では何が起きているのでしょうか。大きく2つの進化が同時に進んでいます。1つ目はAIモデル自体の進化です。Microsoft 365 Copilotの基盤モデルは、2025年8月にGPT-4oからGPT-5に切り替わって以降、5.1から5.5まで短期間で次々とアップデートされています。
2つ目が、先に紹介したWork IQです。2025年11月のMicrosoft Igniteで「Work IQ」という名前が初めて公表されましたが、実際にはそれ以前から、Copilotが過去の対話内容を基に次の対話に生かす仕組みの展開や、回答品質の改善が段階的に進められてきました。Work IQという名前がついたことで、こうした一連の改善にさらにドライブがかかったように思います。
AIモデルの進化と、Work IQによる文脈理解の深化。この2つが掛け算になって働く効果が、体感にも影響を与えていると思います。
そして、「日頃から使い続けていないと感じづらい」と書いた理由もここにあります。Copilotが過去の対話を次の会話に生かす仕組みは、対話を重ねるほど充実していきます。好み、仕事のスタイル、関心のあるテーマ、こうした情報が積み重なることで、Copilotは「この人にはこう答えるのが最適だ」という判断ができるようになります。
つまり、Copilotは使えば使うほど、自分の仕事を理解してくれるようになる。たまに使うだけでは、あの「分かってくれている」感覚は生まれにくいのです。 【次ページ】Copilotを賢くする、4つの「小さな習慣」
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