- 2025/08/07 掲載
セブン、「自力成長」不透明=3兆円投資、具体策欠く
セブン&アイ・ホールディングスは6日、企業価値向上に向けた事業戦略を発表した。7月半ばにカナダの同業が買収提案を撤回。市場ではコンビニ事業を柱とする「自力成長」の具体策を対外的に示す重要な機会と注目された。だが、焦点の3兆円規模の成長投資に関する説明は限定的。5月に発足したスティーブン・ヘイズ・デイカス社長体制下での成長力強化の道筋は依然不透明だ。
「過去とは大きく異なる経営になる」。デイカス氏は記者会見で、こう強調した。6月には金融事業の非連結化が完了。9月には祖業のイトーヨーカ堂を含むスーパー事業などを切り離す方針で、コンビニ専業に向け着々と事業整理が進んでいる。
ただ、国内外のコンビニの再生に向けた戦略は具体性を欠く。4月に発表した3兆2000億円の成長投資に関し、今後5年間で国内5000店舗以上に3000億円を投資し、店舗設備などを強化する方針は示した。だが、企業の合併・買収(M&A)戦略の具体的説明はなく、店舗数拡大や商品宅配事業の強化策を改めて説明するなど、目新しい施策が示されたとは言い難い。
流通業界に詳しい日本経済大の西村尚純教授は「変革と銘打っていた割にサプライズはなく、拍子抜けした」と指摘。発表を受けて株価は上向いたが、6日の終値は前営業日比30円50銭高の2021円と、カナダ同業が買収案で提示した1株2600円の買い付け価格には程遠い。
新事業戦略の柱は国内外でのコンビニ店舗の大幅な拡大。ただ、直近の2025年3~5月期決算では国内コンビニ事業の営業利益は11%減の545億円。海外も既存店売り上げの前年割れが続いているのが実情だ。
販売管理費抑制などによる利益改善と規模拡大を両立し、買収価格を上回る株価を早期に実現できるか、投資家から厳しい目が向けられそうだ。
【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見するセブン&アイ・ホールディングスのスティーブン・ヘイズ・デイカス社長=6日午前、東京都千代田区
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