• 2025/08/21 掲載

焦点:英の根強い物価高に中銀が懸念強めるか、8月に4%到達予想も

ロイター

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William Schomberg David Milliken

[ロンドン 20日 ロイター] - イングランド銀行(BOE、英中央銀行)は物価上昇が執拗に高止まりするリスクに対する懸念をさらに強める可能性がある。8月のインフレ率が英中銀の物価目標の2倍となる4%に達する見込みなのだ。

20日に発表された7月の消費者物価は前年同月比3.8%上昇し、主要7カ国(G7)で最も高い伸び率を示し、BOEが9月に4%でピークに達するという予測が前倒しになりつつある。

7月の消費者物価はロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー価格高騰で2022年10月に40年ぶりの高さとなった11.1%に及ばないが、この1年半で最も大きな伸びだった。

7月のインフレ率を比較すると、米国は2.7%だった。ユーロ圏は約2%にとどまると見込まれている。英国のインフレ率は21年5月以降、ほぼ一貫してBOEの物価目標の2%を上回っている。

そして、さほど不思議でもないことに、BOEはインフレが22年に急騰した際に国民の信頼を失ったため、雇用市場が弱含む状況でも既に緩やかにしか進めていない政策金利の引き下げペースをさらに鈍化させる可能性を示唆している。

BOEのこうした姿勢は、減速している経済成長を加速させようとするスターマー首相とリーブス財務相にとって痛手となる。彼らは就任以来5回実施された利下げを改善の証としてきた。

BOEが8月7日に決めた25ベーシスポイント(bp)の利下げは金融政策委員のほぼ半数が反対した。

金融政策委員のうちの一人、キャサリン・マン氏は3月、米国の研究を引用し、インフレ率が4%に達すると国民の関心が倍増すると指摘した。

この研究は米テキサス大学のオリバー・プフェウティ助教授が著者であり、米国民のインフレに対する関心が高まることで「既にインフレ圧力が高まっている供給ショックを大きく増長しインフレが一段と長期化する」と指摘した。

会計事務所RSM英国のチーフエコノミスト、トーマス・パグ氏はインフレ率が4%に達したからといって経済に長期的な悪影響を自動的に引き起こすわけではないが「消費者や企業がインフレをより敏感に感じやすくなっている証拠は多い」と述べた。

<英中銀の警戒感>

BOEはインフレ率が12月に3.6%まで低下し、26年に平均2.5%、27年第2・四半期にようやく物価目標の2%に戻ると予測。しかし、想定以上に高いインフレ圧力が高まるリスクがあると述べている。

調査会社パンテオン・マイクロエコノミクスのチーフ英国エコノミスト、ロバート・ウッド氏はリーブス氏が予算目標を達成するために自動車燃料税の凍結を解除し他の増税に踏み切る可能性があるだろうとして、26年のインフレ率についてBOEの予測より高い2.7%、27年は2.5%近くになると見込んでいる。

ウッド氏はBOEの利下げサイクルが既に終了したと見ている。

しかしながら、多くのエコノミストは現時点で雇用市場が減速している状況を理由に一段の利下げが可能になるだろうと考えている。

ロイターのアナリスト調査は11月に利下げが実施され、26年初頭に再び利下げがあると予想する。

投資銀行インヴェステックのチーフエコノミスト、フィリップ・ショー氏は失業率が上昇しても新規に労働市場に参入する人が増加し、エネルギー価格が急騰していないと指摘し「インフレ率が上昇すれば賃金が反応するリスクがいつも存在するが、少なくとも今は21年当時とは異なる」と述べた。「(BOEの)金融政策委員会が慎重な姿勢を取るような状況かもしれないが、労働市場は現時点であまりに弱いため深刻かつ中期的なインフレの脅威をもたらさないように思える」と語った。

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