- 2025/09/30 掲載
アストラゼネカ、NY証取に直接上場へ 英上場も維持
[29日 ロイター] - 欧州製薬大手アストラゼネカは29日、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)に株式を直接上場する計画を発表した。既に米預託証券(ADR)を米ナスダック証券取引所に上場しているが、活況を呈している米株式市場への直接上場で流動性を高め、より多くの投資家を引き付けるのが狙いだ。
11月3日の株主総会に諮り、2026年2月2日の上場を目指している。
ロンドン証券取引所(LSE)への上場は維持する。本社は英国に維持し、ナスダック・ストックホルムへの上場も維持すると説明した。
ミシェル・デマレ会長は、NYSEへの直接上場を含めた「調和された上場構造」がアストラゼネカの長期成長戦略を支えるとし「グローバルな上場構造を実現することで、世界のより多様な投資家にアプローチできるようになる」と述べた。
企業がより高いバリュエーションや、より大きな資本市場を求めて米国株式市場にシフトする中、LSEは上場企業の縮小が続いている。逆風を跳ね返そうと、LSEは上場制度改革に取り組んでいる。
英財務省の報道担当者はアストラゼネカのLSEへの上場維持を歓迎し、アストラゼネカがFTSE100種の構成銘柄から外れることはないとの見解を示した。
アストラゼネカ株は29日に約1%上昇した。今年に入ってからの上昇率は約6%と、13.6%上がっている英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)、14.2%高のFTSE100種株価指数に比べて大きく見劣りする。
<株主の約2割が北米>
LSEGのデータによると、アストラゼネカの株主のうち22%弱を北米が占めており、地域別で最大となっている。これは英国の代表的な優良企業と同じ傾向だ。
株主である英資産運用会社アバディーン・グループのイアン・パイル氏は、今回の発表の主なポイントはアストラゼネカが英国を主要上場先として維持することを「再確認」したことだと指摘。その上で「私たちの観点では、(アストラゼネカは)市場が依然として過小評価している幅広いパイプライン(新薬候補)を持ち、ファンダメンタルのベースで魅力的な投資対象であり続ける。上場先はその見解を変えるものではない」と述べた。
ピール・ハントのアナリストらは、アストラゼネカのLSEへの上場維持計画を短期的には好材料だと評価する一方、米国での直接上場が成功すれば他社の追随を促す可能性があるとも警告した。
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