- 2025/10/03 掲載
活況のアジア・プライベート市場、真価問われる局面に=資産運用大手
[シンガポール 2日 ロイター] - アジアでは非上場企業に融資や出資を行うプライベート市場が活況だが、上場市場での投資回収ルートが脆弱で信用サイクルに直面した経験も乏しいことから、やがて真価が問われる局面を迎える――。シンガポールで開かれた会議で、資産運用大手の幹部2人がこうした見方を示した。
デロイトのデータによると、アジア太平洋地域のプライベート市場は過去10年間で拡大し、2024年にはプライベートエクイティ(PE)企業による企業買収が1380億ドルと過去10年間で2番目に高い水準に達した。またプレキンによると、同地域で運用されているプライベートクレジット資産は14年以降で6倍強に急増し、23年9月時点で約930億ドルに達した。
プリンシパル・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)兼債券グローバルヘッドのマイケル・グーセー氏はシンガポールの会議で1日、プライベート資産への資金流入により上場市場からのリスク移転が進んだが、借り手が景気後退局面をしのげるかはまだ検証されていないとし、「プライベート市場について懸念を抱いている」と述べた。「われわれはまだ本格的なサイクルを経験していない。PEやプライベートクレジット関連の商品が約束するリターンを追い求め、莫大な資金が流れ込んでいる」と危惧を示した。
また、上場市場から大量の資金が引き揚げられてプライベート市場に流入し、よりリスクの高い発行体がプライベート市場のバランスシートに紛れ込んでいると指摘。「こうした企業は景気が悪化したときに問題を抱えることになる」と述べた。
シンガポールの政府系ファンドGICのアドバイザー、ジェフリー・ジェーンサブハキジ氏も同じ会議で2日、インドを除くとアジアの上場市場は信頼できるバリュエーションや流動性を提供していないため、アジアのPEは依然として投資回収に苦労していると述べた。
一方で「日本は非常に成功しており、付加価値のあるコーポレートガバナンス改革を進めている。韓国も非常に力を入れている。こうした取り組みは上場市場のパフォーマンスを改善し、出口(投資回収)を可能にし、PEも追随できる」とも述べた。
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