- 2025/10/09 掲載
10月ロイター企業調査:基礎的財政収支の黒字化目標、6割が新政権に堅持求める
[東京 9日 ロイター] - 10月のロイター企業調査で、近く発足する新政権の財政運営について聞いたところ、6割強が2025─26年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化する政府目標を堅持すべきと回答した。うち半分以上がより強いコミットメントを求めた。黒字化の達成時期にこだわる必要はないとの回答も4割近くあった。
調査は9月24日ー10月3日に実施。発送数497社(資本金10億円以上の上場・非上場企業)のうち、237社から回答があった。締め切り翌日の4日、自民党は積極財政色が濃い高市早苗・前経済安全保障担当相を新総裁に選出した。臨時国会で指名されれば、初の女性首相が誕生する。
回答企業のうち、33%が「黒字化達成へより強いコミットメントが必要」を、29%が「見直す必要がない」を選んだ。合わせて62%が目標通りの達成を求めたことになる。「黒字化の時期にこだわる必要はない」を選んだのは37%だった。
「財政健全化に向け、いつまでも先延ばしにすべきでないと考える」(窯業)、「なるべく早期にプライマリーバランスを黒字化することで、将来の経済不安を軽減できる」(空運)、「意図を持って積極財政を図るのは良いが、コミットメントの見直しは財政への信認を損う」(情報サービス)、「赤字増大により日本の格付けが下がると、英国のトラスショックのような重大な影響を経済に与える懸念がある」(化学)などの声があった。
一方、「国債を発行して財政出動しないと経済成長はない」(輸送用機械)、「景気対策も財政健全化も一定程度必要」(鉄道)、「強引な目標設定は実現性、信頼性に疑問が生じるうえ、具体的政策にも悪影響の可能性がある」(電機)といった意見も聞かれた。
PBは、社会保障や公共事業など行政サービスの経費を税収などで賄えているかどうかを示す財政健全化の指標。黒字であれば毎年の支出を国債発行など借金に頼らず財政運営ができていることになるが、日本はバブル崩壊から30年以上赤字が続いている。
調査では、新政権に期待する政策も聞いた。8つの選択肢から2つまで回答可としたところ、成長戦略が56%でトップ、物価高対策が54%で続いた。3位は安全保障・外交政策で21%だった。7月の参議院選挙、9月の自民党総裁選挙で論点の1つとなった外国人規制は6%で7位だった。
「清廉潔白でシンプルなメッセージで国民を元気にしてほしい。政治への不信感を払しょくすべき」(輸送用機器)、「社会インフラのデジタル化推進」(情報サービス)、「選択的夫婦別姓制度の推進を求める」(鉄鋼)などの要望があった。
(梶本哲史、グラフィック作成:照井裕子 編集:久保信博)
最新ニュースのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR