- 2025/11/26 掲載
養殖メスウナギ、流通拡大=資源の有効活用も
愛知県水産試験場の内水面漁業研究所(西尾市)などが開発したウナギの「メス化技術」への期待が高まっている。ウナギの稚魚は養殖すると9割以上がオスに育つが、エサの工夫でほぼ全てをメスにすることに成功。メスはオスの倍ほどの重量に育ち、資源の有効活用にもつながる。大手スーパーが取り扱いを始めるなど流通も拡大している。
「(消費者が)オスとメスを選べる時代がそこまで来ている」。18日に名古屋市で行われたイベントで、同試験場の稲葉博之さんは力を込めた。
稲葉さんらは、稚魚のシラスウナギに一定期間、女性ホルモンに構造が似ている大豆イソフラボンを含むエサを食べさせてメスに育てる技術を確立。2021年に特許を取得した。養殖期間は長くなるが、メスはオスの倍ほどの400~500グラムに成長する。うま味成分が多く、身が軟らかいとのデータもある。
大手スーパーのイオンリテールは今年7月、「土用の丑(うし)の日」に合わせてメスウナギのかば焼きを初めて販売。約6万尾用意し、売れ行きは好調だったという。コンビニ大手ローソンもメスのうな重弁当を今年初めて展開した。
イオンリテールの担当者は「限りある資源の有効活用という点で、サステナブル(持続可能)な取り組みだ」と語る。両社は来年も販売を検討している。
地元の一色うなぎ漁業協同組合(西尾市)では、重量ベースで出荷の3割ほどがメスになっている。愛知県水産課によると、静岡や鹿児島など他の産地も同様の養殖手法を導入しており、「(今後も)広がる方向」という。
ウナギ全種の取引規制などを話し合うワシントン条約締約国会議が今月24日にウズベキスタンで開幕した。仮に規制強化が決定すれば、価格高騰は必至。大きいサイズのメスウナギの需要は一段と高まる可能性がある。
【時事通信社】 〔写真説明〕養殖メスウナギを使用したうな丼など=18日、名古屋市中区 〔写真説明〕養殖メスウナギ=18日、名古屋市中区
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