- 2025/11/26 掲載
ドル建て業務展開のユーロ圏銀行、バッファー積み増しを=ECB
[フランクフルト 26日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は26日公表した金融安定性レビューで、大規模なドル建て業務を展開するユーロ圏の銀行に対し、ドルが逼迫する事態に備え、流動性と資本のバッファーを積み増すべきだとの見解を示した。
「通貨のボラティリティーやカウンタパーティー信用リスクの上昇を吸収するには、十分な資本の余裕が必要となる可能性がある」とし「銀行は流出に備え、ドル建て流動資産を保有すべきだ」と述べた。
金融安定性レビューは、監督対象行への法的拘束力はないが、ドルの流動性に対するECBの懸念が強いことが浮き彫りとなった。
ECBは「極端なシナリオにおけるドル資金の流出によって、レポ取引や為替スワップ、資産売却を通じた資金調達能力が尽きる可能性がある」とする一方で、具体的な想定シナリオについては明らかにしなかった。
報告書には明記されていないものの、最悪のシナリオの一つとしては、米連邦準備理事会(FRB)がECB向けの緊急流動性供給ラインを停止し、セーフティネットが失われる事態が想定される。
しかしデギンドスECB副総裁は、こうしたリスクを過度には重視しない立場を示し、米欧双方で市場を落ち着かせる上でスワップラインが極めて重要だと強調した。
記者会見で「スワップラインに関する現状の変更について、何ら情報は得ていない」と述べ、「FRBとECBの間のスワップラインは、米欧の金融安定を維持する上で非常に重要な要素だ」と語った。
ECBによると、ドル建て業務はユーロ圏のグローバル大手行に集中している。具体的には、BNPパリバ、ドイツ銀行、クレディ・アグリコル、Groupe BPCE、ING、サンタンデール、ソシエテ・ジェネラルが挙げられる。
こうした業務には、米短期金融市場で資金を調達してヘッジファンド向けに融資を行ったり、保険会社・ファンド・企業に対し、ドルエクスポージャーのリスクヘッジのために外国為替スワップを販売したりすることが含まれる。
これらの銀行はスワップ取引を通じて逆のポジションを取り、為替リスクを相殺していることが少なくないが、ECBは「為替スワップ市場にストレスがかかった局面では、こうしたポジションのロールオーバーが困難になる可能性がある」と指摘した。
ECBは、現時点でドル建て資産と負債のミスマッチは「限定的」で、一部の銀行がレポ取引を利用して満期を調整しているとみているが、「こうした戦略は流動性リスクを完全に排除するものではない」と警告している。
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