- 2026/01/09 掲載
EV普及、バッテリー再利用カギ=希少金属流出阻止へ「囲い込み」―自動車業界
2025年に低価格モデルも含めて相次ぎ新型車が発表され、日本でも電気自動車(EV)が消費者の現実的な選択肢となってきた。本格的な普及へ課題となるのが、EVを含むハイテク製品の生産に不可欠なレアメタル(希少金属)を含有する使用済みバッテリーを国内で再利用する仕組みづくりだ。国外流出を防ぐため、業界は「囲い込み」に頭をひねる。
EVに搭載したバッテリーには、リチウムやニッケルなど、日本が輸入に依存している希少金属が多く含まれる。このため中古バッテリーは「都市鉱山」とも呼ばれる貴重な資源だが、日本総研の調査では、国内の中古EVは24年時点で累計約11万台で、そのうち8割以上がバッテリーと共に輸出されたと見込む。海外流出した希少金属は175億円相当と試算される。
こうした状況下、パナソニックホールディングス傘下のパナソニックエナジー(大阪府守口市)は、住友金属鉱山と連携。昨年3月から自社の車載電池工場で生じる廃材からニッケルを取り出し、バッテリー材料に再利用しようと取り組む。
リサイクルの枠組み拡大も検討するが、事業化にはバッテリーの回収・分解のほか、複数の種類のレアメタルを抽出し再精製する仕組みや技術が必要。現在は中古バッテリーの流通量も少なく、採算が取れない状況で、同社の南野哲郎競争力革新統括室長は「複数の企業が協業し、(再利用の)スキームをつくらなければいけないところが一番難しい」と指摘する。
日本自動車工業会はEV普及に不可欠として、バッテリーを再利用する仕組みづくりを重点課題に据えた。今月1日に就任した佐藤恒治会長(トヨタ自動車社長)は「希少資源を循環させる仕組みが必要。業界を挙げて取り組まないといけない」と強調した。
行政でも、福岡県が24年、日産自動車やエネルギー関連企業などと組み、中古バッテリーを再利用する仕組みの構築に向けて動きだした。他の自治体でも中古EVの利用促進などに取り組みつつある。ただ、日本総研の籾山嵩氏は「単発的な実証にとどまり、事業化に至らない例が散見される」と指摘。国家戦略として中古バッテリーをリサイクルする仕組みを構築する必要があると指摘する。
【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見する日本自動車工業会の佐藤恒治会長=6日午後、東京都港区
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