- 2026/01/29 掲載
インタビュー:米は日本の財政赤字・金利上昇波及を懸念、為替介入容認も=中尾元財務官
[東京 29日 ロイター] - 元財務官の中尾武彦氏(住友商事顧問、国際経済戦略センター理事長)は29日、円高が急速に進んだ先週末以来の局面で米当局が為替ディーラーに取引水準などを尋ねるレートチェックを行ったとの観測について、米国は日本の財政赤字や長期金利上昇が自国に波及するのを懸念しているとの見方を示した。ロイターとのインタビューで語った。円安是正のため日本当局の為替介入を容認する可能性があるとも述べた。
中尾氏は「米国はドル基軸体制を維持したい一方、基軸通貨としてドルが高くなりがちなことは輸出などに悪影響を与えると考えている。現状、円や韓国ウォン、台湾ドルなど東アジア通貨が安すぎるとみており、その修正を図るためにレートチェックを実施しても全然おかしくない」と指摘。「ベセント財務長官は以前、日銀の政策がビハインド・ザ・カーブ(周回遅れ)と明言したことがあり、日銀金融政策の正常化が為替に反映されるのを望んでいる」と語った。
背景として、米国が日本国債の金利動向に神経をとがらせている可能性があると解説。「米国政府は日本の財政赤字の拡大や将来不安が日本の長期金利の上昇につながり、資金の動きや連想から米国債の金利上昇に反映されることを懸念している。心理的なものも含め、ボラティリティ(変動率)が高まるのは困るというはっきりした考えを持っている」とした。
そのため、日本は追加利上げなど金融政策の正常化を急ぐ必要性があると言及。「日銀が政策金利を引き上げると長期金利も上昇するという見方があるが、政策金利を適切な水準に早く引き上げてインフレに対応するほうが、長期金利が跳ねることを抑制することができるだろう」と述べた。
金融市場には、日本側が米国債の売却を伴う為替介入を実施するには米国の理解を得にくいとの見方がある。しかし、中尾氏は「自分が財務官時代の2011年夏から秋の1700億ドルに及ぶドル買い介入は平均1ドル=79円であり、安く買ったものを高いときに売ることは利益を生むし、長期的に為替の変動をスムーズにするとも言える。米国の国債市場は非常に規模が大きく、介入に伴う米国債の売却による金利上昇の問題より、過度な円安を修正するメリットのほうが大きいと考えるのではないか」と語った。
その上で中尾氏は「協調介入ができれば、米側のオペレーションはそれほど大きなものにならなくてもアナウンスメント効果は大きい。米国は、円安を修正する為替介入は容認するだろう」と話した。
(竹本能文 編集:久保信博)
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