- 2026/02/25 掲載
日本経済は好調持続、これ以上財政・金融吹かせばインフレ高進=黒田前日銀総裁
[東京 25日 ロイター] - 黒田東彦・前日銀総裁はロイターのインタビューで、日本経済が好調を続ける見通しの下で「これ以上、財政や金融を吹かしたらインフレが高まってしまう」と警戒感を示した。日銀は1―2年かけて中立金利に向け徐々に政策金利を引き上げていくのが望ましいとする一方で、財政はむしろ「引き締めないといけない」とし、高圧経済を志向する高市早苗政権の政策に疑問を呈した。
黒田氏は第2次安倍晋三政権の2013年3月に日銀総裁に就任し、アベノミクスの根幹をなす「異次元の金融緩和」を実施してデフレ脱却を目指した。23年3月に退任し、現在は政策研究大学院大学で政策研究院シニア・フェローを務める。
黒田氏は足元「雇用は『超完全雇用』と言える状況で人出不足、経済成長は1%台前半であり、日本経済は絶好調だ」とみる。賃金の5%上昇や物価が2―3%程度上昇する状況も続く見通しで、自身が総裁に就いた当時のデフレ下の円高局面とは違い「今はインフレで円安なので財政と金融は基本的に締めないといけない」と指摘した。
高市政権が掲げる食料品を対象にした2年間の消費税ゼロには年間5兆円の代替財源が必要と試算されているが、黒田氏は財源が見つかるとは思えないとした上で、代替財源がなければ「財政赤字が拡大してインフレを助長し、長期金利がどんどん上がっていく」と懸念を示した。
1月半ばにかけて長期金利が上昇した背景には「日銀の金融政策の正常化で政策金利が少しずつ上がっているのもあるが、高市政権の高圧経済を志向した財政政策でインフレ期待が上昇していることが大きい」と指摘した。
金融政策については、経済の好調を持続させるためには、これ以上の緩和は必要なく「1―2年かけて徐々に中立金利に持っていく必要がある」と述べ、日銀の段階的な利上げ方針に理解を示した。利上げは年2回程度のペースが望ましいかとの問いには「まあそうだろう。慌てて利上げしなければならない理由はない」と答えた。来年にかけて利上げを続けた場合、政策金利の到達点は1.5―1.75%程度となるが、「せいぜいそのくらい」と応じた。
日銀と市場とのコミュニケーションに関しては、異次元緩和を始めた際はデフレ脱却という明確な目標に対する機運が弱まるようなことがあれば「どんどん(緩和を)やるぞとはっきり言っていく必要があった」が、現在は金融政策を正常化していく過程であり「大げさに言う必要は何もない」とみる。引き締めでも緩和でもない中立金利へ近づけていく方針だと丁寧に説明していくのが望ましく、植田和男現総裁の情報発信は「正しい」と評価した。
黒田氏は日銀のバランスシートについて、異次元緩和の前から20年以上かけて拡大してきたため、適正規模にまで縮小するには10─20年程度かかると見込む。規模の最終的な着地点は「マーケットの状況を見ながら決めていけばよく、あらかじめ日銀が言う必要はない」との見方を示した。
円相場については、「適正なレンジがある」と指摘。長期的には競争力、短期的には当面の成長率や物価、金利の動きから導かれる均衡値だと説明した。1ドル=157円付近は「ちょっと円安に行き過ぎているのではないか」とみており、「120―130円程度が良い水準ではないか」と話した。高市首相の円安容認発言や拡張財政見通しから、外為市場では8日投開票の衆院選の前後に157円台までドル高/円安が進んでいた。
※インタビューは24日に実施しました。
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