- 2026/02/27 掲載
焦点:米政権とカリフォルニア州のEV法廷闘争、自動車メーカーを翻弄
[ロサンゼルス 19日 ロイター] - トランプ米政権とカリフォルニア州の間で自動車排出ガス規制を巡る法廷闘争が進行しており、テスラをはじめとする電気自動車(EV)メーカーや伝統的自動車メーカーに大きな影響が及ぶ見込みだ。
連邦議会の共和党は、独自の排出ガス規制制定をカリフォルニア州に認める特例措置廃止に動いているが、同州はこの動きに異議を唱えて提訴している。同州が勝訴した場合、米国で自動車メーカーはトランプ大統領の反EV政策と、他の11州も採用しているカリフォルニア州のEV推進政策という、2つの正反対の規制に従うことになるため、異なるモデルラインアップ開発を余儀なくされる可能性がある。
トランプ氏の戦略の要となる特例措置廃止だが、同州は議会が違法にこれを実行したと訴訟で主張。政権側は訴えを退けるよう求める申し立てを提出している。
政権側が勝訴した場合、伝統的自動車メーカーはカリフォルニア州とその他11州(S&Pグローバル・モビリティーによれば合わせて米新車販売の29%を占める)において、赤字となっているEV販売圧力を軽減できることになる。EVメーカーは、クレジット購入で規制を順守しようとする他メーカーへの規制クレジット販売による重要な収益源を失う可能性がある。
元共和党ストラテジストであり、非営利組織「EVs for All America」の共同創設者であるマイク・マーフィー氏は、カリフォルニア州と連邦政府の対立は自動車メーカーが政治的な変化に「振り回されている」ことを浮き彫りにしていると指摘。トランプ氏の大統領選出以来、自動車メーカーはEV投資に関して550億ドルの評価損を計上している。
「彼ら全員から聞いているのは『この短期志向がわれわれを苦しめている』という声だ」と説明。「ワシントンでは猿が操縦席に座っており、計画を立てることが非常に難しい状況だ」と訴えた。
ホワイトハウスのロジャース報道官はカリフォルニア州の訴訟を「取るに足らない」と評し、「(トランプ大統領は)国民の苦労して収めた税金を浪費する不人気なグリーンエネルギー補助金を廃止した」と述べた。
<加州規制はスモッグ危機で誕生>
カリフォルニア州は1950年代、自動車や産業による大気汚染が深刻となる中、独自の自動車排出ガス基準の設定を開始した。
連邦議会は67年の「大気浄化法」でカリフォルニア州にこの権限を維持することを認め、その後も民主・共和両党の政権が同州に100件以上の免除措置を認めてきた。
ロブ・ボンタ州司法長官はロイターに対し、この訴訟はトランプ政権の「法軽視」姿勢を浮き彫りにしたと語る。
一方、免除措置をカリフォルニア州に付与する権限を持つ米環境保護局(EPA)は声明で「ここで『法軽視』があるとしたら、それはカリフォルニア州の側にある」と反論。「われわれは民主主義に生きており、法律は議会が制定する」と主張し、同州の規制は「米国産業を壊滅させ」、消費者物価を押し上げただろうと述べた。
<自動車メーカーは中ぶらりん>
カリフォルニア州大気資源局(CARB)は自動車メーカーに対し、現時点では州の新基準を順守するかどうかを選択できると伝えているが、州が勝訴した場合、順守しなかったことに対する罰則が科される可能性があると警告している。CARBの記録によれば、多くの自動車メーカーが順守を選択している。
州は当初、2022年にこの規制を導入。当時は米国におけるEV販売が急拡大すると予測されていた時期だ。しかし、消費者の需要が減少しているため、州は野心的なEV導入目標の達成に課題を抱えている。規制に関する不確実性を考慮し、今年のEV販売目標を執行しないとすでに表明済みだ。
かつて共和党のEV支持者だった前出のマーフィー氏は、トランプ氏による汚染基準緩和が同氏の政権以降も続くと見通せず、またグローバルな競争に打ち勝つ必要があるため、自動車メーカーはカリフォルニア州の規制当局と妥協するだろうと見ている。EVは自動車排出ガス規制を強化している中国や欧州などの市場では不可欠だ。
「(各メーカーは)連邦規制の『酒に溺れた休暇』がおそらく長くは続かないということを理解している」と述べた。
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