• 2026/03/03 掲載

マクロスコープ:予算年度内成立に現実味、参院自民にも「進むしかない」の声

ロイター

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Tamiyuki Kihara Yoshifumi Takemoto

[東京 3日 ロイター] - 高市早苗首相(自民党総裁)が強く求める2026年度予算の年度内成立が現実味を増している。自民は大多数の議席を占める衆院で攻勢をかけ、13日の衆院通過を前提とした今後の日程案を野党側に伝えた。充実した審議を求める参院自民も高市氏の強い思いに押される形で動かざるを得ない状況で、関係者は「もう年度内成立に向けて進むしかない」と話す。

<「はめ込んだだけの日程」>

「これで決めたい」。自民は2日、衆院予算委の想定スケジュール表を野党側に提示した。そこには例年開かれる集中審議や、省庁ごとに詳細な審議を行う分科会が抜け落ちていた。例年70―80時間程度を積み上げる審議時間は60時間に満たない。採決の日程こそ書かれていないものの、通常は採決直前に開かれる「締めくくり質疑」は13日に設定されている。年度内成立を実現するために練られた苦肉の策だ。

自民が13日の衆院通過にこだわるのは、衆参の審議時間を極力同等にするためだ。2月27日に始まった衆院の予算審議は、3月13日までと仮定すると「営業日」で11日間の日程となる。例年17日前後を要することからすれば大幅な短縮だ。一方、金曜日でもある13日に通過できれば、翌週16日から参院審議が始められる。31日に成立させるのであれば衆院と同じく11日間の審議となる。

参院の審議時間は衆院の7―8割程度で収まるのが慣例だ。一方、与党で4分の3を握る衆院と異なり、参院では引き続き少数与党でもある。一部の野党や無所属議員から予算案への賛成を取り付けるためにも、今回は慣例よりも多くの審議時間が必要になる可能性もある。国会関係者は「審議の中身ではなく、どうすれば年度内成立を実現できるかを考えてはめ込んだだけの日程だ」と明かした。

<「高市氏が強く求めている」>

ただ、参院にとって毎年の予算審議は「熟議の府」としての独自性を発揮する好機とも言われる。憲法には予算案を参院が30日以内に議決しない場合、衆院の議決を国会の議決とする「30日ルール」の規定がある。そのため、毎年衆院は30日ルールを適用すると年度をぎりぎり越えるスケジュールで参院に送付。「熟議」を尽くした上で、あくまで参院の意思として年度内成立を実現してきた。衆院の判断を追認するだけではないとの姿勢を強調するため、参院の与野党で広く共有された慣例でもある。

こうした参院の意識は今回、逆説的に高市氏を後押しする可能性がある。参院自民関係者は「高市氏が強く求めている。もう参院でも年度内成立に向けて進むしかない」とした上で、「30日ルールがある以上、いずれ予算は成立する。参院の意思を示すためにも、仮に審議時間が少なかろうと野党も採決に応じるはずだ」と話す。

<「時が来るまで正論を」>

野党側はどうか。立憲民主党幹事長の田名部匡代参院議員は1日、テレビ番組で「国民生活に支障が生じないようにするのが政治の役割だ」とする一方、「参院自民のみなさんはこの短期間の議論をどう考えているのか。衆院と違う充実審議をし、チェック機能を果たす役割が参院にはあるのではないか」と訴えた。

JNNが1日に配信した世論調査では、「審議時間を短くして年度内に成立させるべき」との意見が54%に上った。野党内には「予算成立後に予算委の集中審議を開くことなどを条件に年度内の採決に応じる考え方もある」(参院議員)と、条件闘争に移る可能性を指摘する声も出始めている。

拙速な審議となれば、民主的な予算審議を求める財政民主主義の基本原則を逸脱しかねない。一方で、圧倒的な高支持率を背景に、高市氏にとっては年度内成立が実現すれば自身の実行力が評価され、阻まれれば国民生活をないがしろにしたとの批判が野党側に向かうという極めてリスクの低い状況でもある。

立民幹部は「暫定予算を組めば済むことなのに、高市氏がなぜここまでこだわるのか分からない」と語った。「強引な政治を続けていれば、そのうち国民が『おかしい』と気づくだろう。その時が来るまでこちらは正論を言い続ける」

年度内成立が実現した場合の経済影響を専門家はどう見ているのか。

農林中金総合研究所理事研究員の南武志氏は「予算の年度内成立にはプラス面とマイナス面がある」とし、プラス要素は「暫定予算を編成する手間が省けるほか、暫定予算の対象外となるものを含めてすべて予算が4月1日から機能することだ」と指摘。一方、緊迫化する中東情勢を念頭に、「本来はイラン情勢を受けた予算案修正の要否についても議論すべきだが、そもそも審議時間が短いためにそれが難しい。結果的に必要な政策対応に出遅れが生じるリスクがある」とマイナス面を分析した。

(鬼原民幸、竹本能文 編集:橋本浩)

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