- 2020/11/12 掲載
地域金融対象の新制度、マクロの金融政策とは一線画す=安達日銀委員
日銀は10日、地銀や信用金庫を対象として、経営統合や経費削減に取り組むことを条件に当座預金に上乗せ金利を付ける新制度を始めると発表した。同制度は、現行のマイナス金利をはじめとした超低金利政策の副作用を緩和する意味合いがあるのかとの質問に対し、安達氏は、金融庁や政府と一体となって地域金融機関の経営基盤強化を促進するものであり「マクロの金融政策とは一線を画す」と述べた。
安達氏は、新制度について「マイナス金利になっている政策金利のコントローラビリティー自体を失わせるものではない」との認識を示した。
<雇用状況みながら緩和的な政策継続>
このところのコロナの感染再拡大が家計の消費意欲を委縮させるリスクがあると指摘。コロナショックで収益に大きな下押し圧力がかかっている特定業種で、廃業・倒産などのリスクが大きくなる可能性があると述べた。「現時点ですぐに措置を講じるわけではないが、その場合は積極果敢に措置をとっていくことが来年以降の課題だ」と語った。
一方、「コロナ感染が収束した段階で対策は絞られていかざるを得ない状況になるが、その時、非正規雇用のような形で職を失う人が増えていけば、デフレ圧力をもたらしかねない」と指摘。企業が事業を再開して雇用が増える段階になるまで緩和的な政策を続けていくことが必要だと述べた。
2%のインフレ目標については、少なくとも現段階ではグローバルスタンダードであり、これをなくせば「政策自体のアンカーがなくなり、政策の不透明感を高めていってしまう」と指摘。コロナの影響で物価上昇のモメンタムは失われているものの、同目標を掲げて粘り強く取り組んでいくことが重要だとした。
12日午後、長野県金融経済懇談会後の記者会見で質問に答えた。
(杉山健太郎 編集:青山敦子)
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