- 2020/12/13 掲載
アングル:米取引所にも「ESG熱」、バイデン政権に追い風期待
取引所が新たに展開しているESG関連の取り組みには、(1)投資家がESG関連のリスクを理解するのを助けるデータ商品、(2)最適なESG対応の分析、自社の対応の情報開示、資本の呼び込みといった面で企業を支援するサービス、(3)ESGに焦点を当てた指標および金融派生商品――などが挙げられる。
ナスダックの持続可能性部門を率いるエバン・ハーベイ氏は「取引所は投資家、企業、規制当局を結びつける特有の立場に置かれている」と指摘。「この3者がいずれもESGに関する報告、透明性、成果の数量化を巡って共通の判断基準を探る中、取引所には担うべき役割がある」と述べた。
ナスダックは、ESGに関連した米企業の支出が現在の5億ドルから2025年までに50億ドルに増えると予想している。同社の幹部は11月10日の投資家向け説明会で、ESG関連商品の拡充が最も優先すべき事業機会だと主張した。
ナスダックは、新たなESGサービスの収入を現在の500万ドルから2025年までに5000万ドルに増やす目標を掲げている。目標額は、企業統治のプラットフォームやグリーンボンド(環境債)のプラットフォーム、持続可能債券のネットワーク、ESG指数など同取引所のESG関連事業をすべて含めると、1億5000万ドルに膨らむ。ナスダックの全収入の5%だ。
ESGは投資業界にとって大きなビジネスとなっている。モーニングスターによると、米国株の持続可能ファンドには第3・四半期に38億ドルの資金が流入した。これに対し株式ファンド全体は1185億ドルの資金流出だった。持続可能ファンドは標準的なファンドをアウトパフォームしている。
デロイトによると、ESG投資の対象資産が毎年16%のペースで増え続ければ、2025年までに米国の運用資産全体の半分を占めることになる。
<バイデン次期米政権が追い風に>
ESG投資の追い風になりそうなのが、バイデン次期大統領の政策だ。バイデン氏は選挙運動で気候変動対策を1つの柱に据えていた。
ナスダックは、バイデン政権がESG投資にどのような意味合いを持つかを見極めようとしている(ハーベイ氏)という。
同業のCBOEグローバル・マーケッツや、ニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)も、バイデン政権がESGをどう扱うかを注視している。
CBOEのアンジェロ・エバンゲロウ最高政策責任者は「(ESGへの)関心は高まっている。新政権と次期議会になってそれが加速しても意外ではない」と話した。
ICEのフィックストインカム・データサービス部門を率いるリン・マーティン氏は、バイデン氏はESG重視の政策を推し進めそうだが、それが市場にどのような影響を及ぼすかは明らかではないと指摘。「市場の自発的な需要が必要なことに変わりはない。そして明らかなのは、リターンを生み出すことができれば鬼に金棒だということだ」と話した。
マーティン氏の話では、環境債は今年、他の債券をアウトパフォームしているため、ICEの環境債指数に対する需要は強まっている。こうした好調な運用成績に加え、ESGの取り組みを支持する上場企業が増えたため、ESG投資は伸びが加速し、ICEが提供しているESGの情報商品やヘッジ商品も伸びているという。
株式ではS&P総合500種ESG指数が年初来で15.4%上昇し、伸び率はS&P総合500種の13.7%を上回った。同ESG指数は、地雷や化学兵器、タバコを製造している企業や、ESGの評価が低い企業を除外している。
CBOEは9月、S&P総合500種ESG指数のオプション取引を開始した。投資家はこれを使ってESGに関するリスクを管理することができる。
CBOEはナスダックやICEと同様、独自のESG基準に注力しているとエバンゲロウ氏は説明。「当社は話したことは実行したい」と語った。
(John McCrank記者)
*記事の内容は執筆時の情報に基づいています。
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