- 2021/03/25 掲載
焦点:インド企業、IPOによる資金調達が13年ぶり高水準
リフィニティブのデータでは、年初来のインド企業によるIPOの資金調達額は22億ドルで、この期間としては2008年以降で最も大きい。昨年も終盤に上場が重なった影響で年間調達額は92億ドルと、米国と中国に次ぐ世界第3位だった。
インド株は今年に入り、海外投資家の大幅な買い越しや、政府の巨額財政出動、堅調な企業収益が相まって過去最高値を相次いで更新し、資金調達に動く企業が増えている。
HSBCのアジア株戦略責任者ヘラルド・ファンデアリンデ氏は「もしあなたがアジア株を買いたいが、中国に全資金を振り向けたくないと考えるなら、インドが最も手軽な投資先になる。市場規模が大きく、流動性が高い上に、中国株との相関性は低い」と述べた。
実際、1─2月のアジア主要7カ国の株式市場における外国人投資家のフローを見ると、インドは61億ドルの買い越しと、最も多くの資金が流入している。
昨年11月から今年2月半ばまでに31%上昇したインドのニフティ50指数は3月になってやや調整。アナリストの間からなお割高さを懸念する声も聞かれるものの、企業のIPO申請への悪影響はないように見える。
コンサルティング会社EYのパートナー、サンディップ・ケタン氏は「IPO市場に強い勢いがあり、目先の資金調達を検討している全セクターの企業からの関心が高まり続けている」と指摘。有力国際投資家の支援を受けた多くのインドのハイテク新興企業も、近く上場する可能性があるとし、こちらは外国人投資家をより引きつけるだろうと述べた。
個人投資家の市場参加も記録的水準だ。インド証券取引委員会のデータによると、新規投資家数の目安となる電子株保管のための「デマット口座」数は1月に5150万件と過去最高に達した。昨年1月の3950万件から、毎月約100万件ずつ増えた計算となる。
ファンデアリンデ氏は「地元投資家が地元企業を買う構図が見て取れる。IPOにとってこれは健全な流れだ」と述べた。
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