- 2025/05/07 掲載
英ファンドのAVI、ワコムに株主提案 経営体制見直し求める
[東京 7日 ロイター] - 英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)は7日、ペンタブレットなどを手がけるワコムが6月に開催を予定する定時株主総会に向け株主提案を提出し、業績不振の事業の構造改革を監督する委員会の設置や社外取締役の選任を通じ経営体制を見直すよう求めた。
AVIは2021年8月にワコム株への投資を開始し、現在は議決権ベースで10.0%を保有する筆頭株主となっている。また、ワコムの経営陣に対し、非公開化を含む選択肢の比較検討を速やかに開始するよう促した。
日本調査責任者の坂井一成氏はロイターのインタビューで、ワコムのディスプレーやペンタブレットなどを手がける「ブランド製品事業」の業績低迷が長期化していることについて、事業に関する情報共有や分析が行き届かず「取締役会の本来の機能が十分に発揮されていない」点を一因に挙げた。
坂井氏は、同事業の不振によって企業価値が200億円超の規模で毀損(きそん)しているとの試算を示し、立て直しに向け、社外取締役3─5人で構成する「事業構造変革監督委員会」の設置を要求。構造改革を適切に監督し、独立した立場から株主に報告を行う体制を構築すべきだと訴えている。
資本市場を意識した経営を実現するには、資本市場に精通した取締役の選任が不可欠だとし、株主提案の中に社外取締役1人の選任も盛り込んだ。
ワコム取締役の一部がプライベートエクイティ(PE)ファンドとの初期的な面談の実施状況を経営陣の中で共有していないことなども問題視しており、PEファンドとの非公開化や事業会社による子会社化を含む幅広い選択肢の検討を求めた。
AVIは、日本企業との対話を通じて企業価値向上を促すエンゲージメントファンド。ロート製薬に対し、再生医療事業から中核事業への集中を求めるキャンペーンを展開中で、非上場化を検討しているとされる豊田自動織機にも投資している。運用資産合計約3400億円のうち1200億円を日本株式市場に振り向けている。
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