- 2021/04/27 掲載
JR東海、品川・名古屋間リニア総工事費1.5兆円増の7.04兆円に
主な費用増加の理由は、難工事への対応で5000億円、地震対策の充実に6000億円、都市部の発生土の活用先確保で3000億円などとなっている。
丹羽俊介・取締役常務執行役員は同日の国土交通省における会見で、工事費増加に伴う2022年3月期(今期)の業績予想に「影響はない」と指摘。「健全経営と安定配当を堅持し、中央新幹線の早期実現を目指す」と述べた。
増加分の財源に関して丹羽氏は「新たに資金調達することはない」と説明した。財政投融資の仕組みを活用した借り入れ3兆円から使う予定で、「残り2兆円程度ある」と語り、足りなくなれば「稼いでいく営業キャッシュフローを充てていく。それでも必要な場合には新たにマーケットから調達していくことになる」と話した。
一方、開業時期については、会見に同席した澤田尚夫執行役員が、今回の総工事費増加でも「変わらない」と述べた。水資源などへの影響を懸念して着工を認めない静岡県との対立が続いており、目標としている2027年も厳しい状況にあり、「見通せない状況だが、静岡県との問題が決着してから国土交通省と相談する」と語った。
同社はこの日、今期の連結業績予想を発表。今期純損益は900億円の黒字となる見通し。ワクチン接種が進むことで新型コロナウイルス感染が次第に収束し、輸送利用が回復すると見込む。
IBESのコンセンサス予想によると、アナリスト9人の今期純損益予想の平均値は1699億円の黒字となっている。
今期の売上高予想は前期比49.8%増の1兆2340億円、営業損益予想は2150億円の黒字(前期は1847億円の赤字)。
今期業績予想に東京五輪・パラリンピックの影響は織り込んでいない。海外客受け入れの断念は決まったが、国内客がどの程度入れるのかなど「開催方法が未確定」(丹羽氏)のため。
前期の純損益は2015億円の赤字だった。新型コロナ感染拡大により主力の東海道新幹線の利用者数減少が響いた。通期での赤字は1987年の国鉄民営化以来初めて。
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