- 2021/05/31 掲載
コロナ後の金融・財政:格差是正や消費促す税制に=三ツ矢・政調会長代理
ひとり親家庭や、収入の低い非正規雇用で働く人など、コロナ禍で経済的に厳しい生活を強いられている人がいる一方、富裕層の中には過剰流動性を背景に金融資産を増やした人もいる。三ツ矢氏は、株や為替の取引などで得られた金融所得への課税を、総合課税としてもいいのではないかと述べた。
一般的に所得が高い層ほど消費性向が下がってくる傾向にあるため、「あまりに格差がありすぎると経済成長はできない」と指摘。さらに「生活にゆとりがないと政治のことは考えられない。一部の人に富が集中して固定化すると、民主主義も保てなくなる」と述べた。
コロナの感染再拡大を受け、与党内の一部からは2021年度補正予算編成論が浮上しているが、三ツ矢氏は「去年3回補正をやっている。それが本当に必要な人に必要な支援として行き渡ったのか検証が必要ではないか」と述べた。その上で、飲食店や、職を失ったひとり親家庭などに支援の手を差し伸べなければならないと語った。
三ツ矢氏は、日本の福祉のレベルはそこそこだが、国民負担は北欧諸国などに比べて相対的に低いと指摘する。歳入を増やすため消費税率引き上げの議論はあるものの、「所得が低い人たちへの負担が大きくなる。格差がひらいていく中で、当分は引き上げられない」とみている。
税収を増やすためには経済成長が必要であり、貯蓄から消費や設備投資にお金が回っていくよう税制の見直しも考えないといけないのではないかとも述べた。例えば、個人の保有資産については相続税を重くする一方、贈与税を軽くすることで、高齢者の資産がよりお金がかかる子育て世代に早く回っていくような仕組み、給与や雇用を増やしたり新規の設備投資をしたりした企業の法人税を安くする制度などが考えられるという。
2025年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字化させるという政府目標は「個人的に非常に厳しいと思っている」と述べた。「PB目標を止めるべきだ、PBと言っているから経済も活性化しないし、縛りをかけられておかしくなっているという議論もある。ただ、その目標をなくすとモラルハザードを起こすと思う。そういう意味で批判があることも承知で言うが、一つのめどとして目標を持っておくべきだ」と語った。
*インタビューは27日に実施しました。
(杉山健太郎、木原麗花、梶本哲史 編集:久保信博)
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