- 2021/06/07 掲載
ミーム株急騰、機関投資家はベアプットスプレッドで対抗
オプション取引のデータや市場関係者の話で明らかになった。
この取引は「ベアプットスプレッド」と呼ばれる、株価下落に賭ける弱気のオプション戦略で、利益も制限される。
こうした取引が増えている背景には、個人投資家の買いで急騰するミーム株への投資で利益を得る一方、慎重な取引を行いたいと考える機関投資家の存在がある。
AMC株は過去1週間で83%強上昇。年初来上昇率は2160%に達しており、S3パートナーズの最新データによると、AMC株をヘッジなしで売り持ちにしている投資家は40億ドル近い含み損を抱えている。株価が乱高下すると、オプション価格も値上がりする。
一部の機関投資家は、このような株価急騰は長続きしないとみているが、問題はいつ株価が反落するかが分からないことだ。また数ではかなわない個人投資家との長期戦に耐えられるだけの資金があるのかも分からない。
ここで登場するのが、ベアプットスプレッドだ。この取引では、一定の期間内に一定の権利行使価格で原資産を売却できる1組のプットオプションを購入する一方で、権利行使期間が同じで権利行使価格の安い別の1組のプットオプションを売却する。
前者の1組のプットオプションを購入する費用の大半は、プットオプションの売却で相殺できる。株価が下落しない場合や、予想ほど下落しない場合、プットオプションの購入で生じた損失は、プットオプションの売却で得た利益でおおむね相殺できる。
ウォール街の大手金融機関の幹部によると、顧客である機関投資家の大多数はミーム株の取引を敬遠しているが、一部の機関投資家はこのベアプットスプレッド取引を通じてミーム株の下落に賭け始めている。
オプション取引のデータによると、こうした複雑なオプション取引は増えている。オプション分析会社トレード・アラートによると、主に機関投資家が行うこうした複雑な取引は、AMCの1日平均の取引の22%を占めており、5月の13%から上昇している。
オプション取引全体を見ると、依然として個人の取引が圧倒的に多く、機関投資家の通常の取引サイズである100枚を超える取引は、AMCの1日のオプション取引全体の約10-15%にすぎないという。
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