- 2021/06/24 掲載
債務管理の在り方懇、きょうの協議を最後に廃止へ=政府筋
[東京 24日 ロイター] - 財務省は、定期的に実施してきた「国の債務管理の在り方に関する懇談会」について、きょう24日の協議を最後に廃止する方針だ。新型コロナ対応に伴う債務の急増など財政状況の変化に対応して今後、新たな協議体を立ち上げる。国債の安定消化に向け、国債市場特別参加者で構成するプライマリーディーラー会合(PD懇)と投資家懇談を通じた対話は継続する。
複数の政府筋が明らかにした。在り方懇は国際公共政策研究センターの田中直毅理事長を座長とし、吉野直行慶大名誉教授や野村資本市場研究所の冨田俊基氏ら、専門家17人で構成。2004年11月の初会合からこれまで53回にわたり大所高所から意見を求めてきた。
毎年末に策定する国債発行計画の指針となる議論を交わし、債務が膨張する中でも安定的な国債消化を主導してきたが、17年の歴史に幕を閉じる。在り方懇に代わる新たな協議体やメンバーは今後、詰める。
初回の議論では、日本の財政状況について「2010年代初頭(当時)にプライマリーバランス(PB)を黒字化させたとしても、国債残高はさらに累増し続け、大量の借換債を発行せざるを得ない。財政健全化を本格的に進めることが、国債管理を考える上で重要な前提」などの意見が出された。最後となるきょうの会合では、これまでの議論も総括する。
新型コロナ対応で国が発行する普通国債残高は21年度末に990.3兆円と過去最大に膨らみ、名目国内総生産(GDP)に対する比率は177%に上昇する見通し。21年度一般会計予算案の不足財源を補う新規国債発行に加え、国債整理基金特別会計で発行する国債は147.2兆円と想定され、普通国債残高は21年度末に20年度末に比べて84.3兆円増える。
政府は、25年度にPBを黒字にする財政目標を堅持する一方、コロナ感染拡大による経済財政への影響について、今年度内に検証を行う方針で、債務管理の観点からも丁寧な議論が求められる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、日本の政府債務残高がコロナ対策も加わり過去最大に膨らむ中で、「今こそ長期的な視点で、財政の在り方を話し合わなければならない時期であるだけに、債券市場も先行きに不安を感じるのではないか。今後立ち上げるとされる新たな協議体を見極めたい」と述べた。
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