• 2021/07/03 掲載

アングル:米雇用統計の中身にばらつき、FRBは難しい判断も

ロイター

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[ワシントン 2日 ロイター] - 6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が85万人増加したことは、米連邦準備理事会(FRB)にとって政策を変更する上で一歩前進といえるが、統計の中身を見ると内容にばらつきがあり、FRBは今後の対応を巡って難しい判断を迫られる可能性もある。

FRBが昨年12月、最大雇用や物価安定に向け「実質的な一段の進展」が見られるまでテーパリング(量的緩和の縮小)は行わないと表明してから、雇用者数は約330万人増加し、新型コロナウイルス禍で失われた分の3分の1相当を取り戻した。なお約670万人の雇用が不足しているとはいえ、好調な経済成長や記録的な求人件数を追い風に、雇用者数は今後もさらに増える見通しだ。

IIIキャピタル・マネジメントのチーフエコノミスト、カリム・バスタ氏は「先月の雇用増加に伴い、向こう数カ月の間に政策変更の条件が整えば、9月にも政策転換が発表される可能性がある」と述べた。

ただ、回復がどの程度進んでいるかについては議論の余地がある。

FRBは、コロナ禍に起因する不況への対応策を打ち出すに当たり、全体の雇用者数や失業率はもちろん、女性やマイノリティー、その他コロナ禍で最も大きな打撃を受けた人々にも回復の恩恵が行き届くよう望んでいると明言。また、人口に占める雇用者数の割合にも注目している。

<完全には確信持てず>

6月の雇用統計を見ると、働く女性の数は7140万人相当と、前月から約13万人減少した。成人女性の労働参加率は56.2%と横ばいで、コロナ開始時の57.8%をなお大きく割り込んでいる。女性が家庭の事情で仕事から永久に離れてしまったのか、それとも学校やその他のサービスが再開されるまで一時的に待機しているだけなのか、政策当局者にとっては悩ましい問題だ。

人口に占める雇用者数の割合も58%と横ばい。コロナ前と比較すると3%ポイント超低下している。

こうした指標では目ぼしい進展が見られないことから、FRB内では、経済が正常な状態に戻り、個人が復職するにはもう少し時間が必要とみる向きと、コロナ禍によって一部の人々は退職するなど労働市場から永久に離れてしまったとみる向きに二分されており、どちらの言い分が正しいかで完全雇用までの道のりや政策変更の時期が決まる見込みだ。

キャピタル・エコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「労働力人口の伸びはわずか15万1000人で、コロナ前のピーク時と比べて300万人以上も少ない。したがって、これがはるかに強いトレンドの始まりであると完全には確信が持てない」と指摘した。

FRBはコロナ感染の緩和に伴い、テーパリングの方法や時期に関する議論を開始しており、秋にかけて発表される指標は、経済再開に絡む問題がどの程度解消されるのか判断する手掛かりになる。経済は着実に進展してはいるが、ばらつきもある。家計が隔離期間中にため込んだお金を使い、供給業者がそれに追いつくのに苦労する中、物価は上昇。最近までは雇用の回復が停滞する局面もあった。

(Howard Schneider記者)

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