- 2021/07/03 掲載
後手に回った末の退場=根深い社内論理優先―三菱電機・検査不正
不祥事が相次ぐ三菱電機の杉山武史社長が2日、辞任を表明した。新たに検査不正が発覚し、ガバナンス(企業統治)不全と後手に回った情報開示を批判された末の退場劇。月内にも選定する後継社長を中心に企業風土改革に取り組むが、長年にわたって組織ぐるみの不正が横行していた社内論理優先の社風を改めるのは至難の業だ。
「私が社長の任にこれからもあり続けることが理解を得られるのか、何度も自問した」。報道で検査不正が発覚してから3日後、ようやく公の場に姿を現した杉山社長は、これまで不祥事のたびに表明した「品質改革」で成果を挙げられなかった自身が、引き続きその役目を担うのはふさわしくないと辞任の理由を説明した。前日夜、意思を固めたという。
今回の検査不正は6月14日に社内で判明していたにもかかわらず、29日の株主総会で一切説明しなかった。その後も記者会見を開かずに批判を浴びたが、「しっかり調査ができた段階で発表すべきだと考えていた」と釈明。総会での公表見送りは、取締役会で了承を得たと明かした。
だが、こうした身勝手な社内論理と社会の認識とのずれは、検査不正にも通じる構図だ。顧客に無断で検査方法を変更していたことについて、杉山氏は「自分たちの技術力を絶対視するようなおごった考え方が根っこにあった」と落ち度を認めた。
一方、検査不正の動機について現場の業務負担が重く、効率化の意図があったとした上で、「経営サイドがうまく受け止められなかった」と反省の言葉を口にしたが、信頼回復への道のりは険しい。
【時事通信社】 〔写真説明〕検査不正問題をめぐる記者会見で、うつむく三菱電機の杉山武史社長=2日午後、東京都千代田区
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