- 2021/07/09 掲載
ECB戦略見直し発表後のラガルド総裁発言要旨
ECBは、新たなインフレ目標について「対称的」とし、「目標を上振れても、下振れても、同等に望ましくない」と説明した。
ラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<「2%」に設定するが、乖離も可>
常に2%にならないことは承知している。上下両方向に、緩やかで一時的な乖離がある可能性がある。これには問題はない。持続的で根強く、大幅な乖離があれば、大きく懸念する。
<より明確で簡素な目標>
2%のインフレ目標は、意思伝達においてより明確かつ簡素であり、確実でバランスが取れていると確信している。さらに、物価安定の定義として一般的に認められている2%をインフレ目標とする世界の他の中銀と均衡することになる。
<利上げが必要なときは遅延せず>
目標を簡素で確固たる「2%」に設定することで、われわれは実施される可能性のある引き締めを実際に押し出している。
<政策発表も遅延せず>
何かが用意できたら、発表する。さもなければ、情報が漏洩するリスクがあり、状況が制御できなくなる可能性がある。欧州はいつも遅いとの苦情が聞かれるが、ECBは迅速だ。
<何よりもまず金利、その後に他の政策手段>
ECBの主要な政策手段は何もよりもまず金利だ。しかし、現在のような状況下では、過去10年間に成功を収めた他の手段もマイナスの衝撃に対応する上で必要であると認識している。
フォワードガイダンスや資産購入プログラム、長期資金供給オペ(LTRO)、マイナス金利といった全ての手段が必要であり、必要に応じ活用できるようツールボックスに存在する。
<「平均的な」インフレ目標でない>
米連邦準備理事会(FRB)のような平均インフレ目標となるかという質問に対する答えはノーだ。なぜならこうした下限制約に対応する複数の方策があるからだ。
<住宅所有者のコスト>
ECB理事会で決定されたことは、所有者が居住している住宅の消費コストの計上だ。これは住宅所有者が負担する投資コストとは関係なく、所有者が実際に負担する消費コストと関連している。欧州の多くの人々からインフレ率の測定に住宅コストが適切に反映されていないとの不満の声が出ており、それに対応するために、この特別な要素を考慮に入れたいと考えている。
歴史的に見ても欧州連合(EU)基準(HICP)で測定されたインフレ率の変動はそれほど大きくない。時間とともに変化しており、消費コストが高くなる時期もあれば低くなる時期もある。平均するとHICPの上昇はわずかだ。
<気候変動>
気候変動は世界が直面している大きな課題だ。われわれは主役ではなく、言うなればバスを運転しているわけではないものの、バスに乗車している。われわれの責務の下、気候変動が物価安定に影響を与えるかどうかを検討する必要がある。
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