- 2021/07/11 掲載
円LIBOR、廃止まで半年=大手行、契約移行急ピッチ―残高2000兆円
金融機関が融資の金利などを決める際に基準とする円建ての「ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)」について、2021年末の廃止まで半年を切った。大手銀行は契約ごとに基準の切り替えに追われるが、残高は金融派生商品(デリバティブ)を含め2000兆円を超えるため作業量は膨大。切り替えが間に合わなければ、融資を受ける企業がデフォルト(債務不履行)に陥るなど、金融市場に不測の混乱を引き起こす恐れがある。
LIBORは、世界中の金融取引で参照される指標金利。金融機関が融資をする際、企業の信用力を反映させて「LIBOR+X%」などの形で金利を決める。不正操作問題を受けて廃止が決まり、円建ては今年末に公表が停止される。
このため、公表停止までに切り替え作業を終えないと、LIBORを金利の基準とする融資は利払い額が確定できず、企業の金利の支払いが滞る可能性も。雨宮正佳日銀副総裁は「個々の取引だけでなく市場全体が大きな混乱に陥る」と警鐘を鳴らしており、年末までに指標金利をLIBORから他の金利に切り替える必要がある。
三井住友銀行は切り替え作業を昨年開始した。当初は融資先にLIBOR問題への認識が広がらず、「顧客に問題そのものを理解してもらうところから始める必要があった」(折原隆志経営企画部部長)という。現在は国内で専従8人を含む40~50人に上る対策チームで切り替え作業中。特に「(地方銀行との)協調融資の場合はさらに手間がかかる」(折原氏)と漏らす。
全国銀行協会の三毛兼承会長(当時)は6月の記者会見で、切り替え作業について「現時点で重大な遅れは生じていない」と説明。ただ、金融庁などは9月末までに円LIBORを参照する契約の「顕著な減少」を求めており、三毛氏は「これから移行(作業)のピークが到来する」と気を引き締めている。
【時事通信社】
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