• 2021/07/30 掲載

日銀、不安心理に苦悩=原発事故「重苦しいリスク」―東日本大震災時の議事録公表

時事通信社

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日銀は30日、2011年1~6月に開いた金融政策決定会合の議事録を公表した。3月11日に東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が発生。日銀は「国民の不安心理の高まり」(白川方明総裁=肩書は当時、以下同=)を警戒し追加金融緩和を実施した。初動はおおむね成功したが、原発事故という「重苦しいリスク」(同)に苦悩し、執行部の意見が割れる異例の事態も起きた。

震災後初めての決定会合は3月14日正午すぎから。開催に先立ち、日銀は動揺する金融市場に大量の資金を供給して市場の安定を図るとともに、2日間の予定だった会合を1日に短縮。株価の下落や円高の動きは見られたが、大量の資金供給や被災地への現金供給などで「金融市場における取引や決済面で大きな混乱は生じていない」(白川総裁)と確認した。

その一方で、企業が資金調達する社債市場の機能は低下。「ほっておけば企業マインドや消費マインドが一段と冷え込む」(中村清次審議委員)など、不安の高まりが実体経済を収縮させることへの懸念が相次ぎ、金融資産の買い入れ基金を5兆円程度増額する追加金融緩和を賛成多数で決めた。

続く会合は4月6、7両日。被災地の金融機関を対象に復興支援のための総額1兆円の低利融資制度創設を全員一致で決めた。ただ、原発事故が日本経済や国民心理に及ぼす悪影響は、長期かつ広範にわたる。白川総裁は「暗雲を投げ掛けるのはやはり原発のリスクだ」と漏らしていた。

白川総裁は4月28日の会合でも、「原発は考えれば考えるほど、金融政策で立ち向かうには重苦しいリスクだ」と吐露したが、この日は執行部の意見が分かれる場面もあった。不安心理の広がりを受け、執行部の西村清彦副総裁が「(実体経済の)見通しは執行部案に比べ下振れリスクが小さくない」として、買い入れ基金をさらに5兆円程度増やす追加緩和を提案したが、1対8の反対多数で否決。空前の災害に日銀も揺れていた。

日銀は半年分の議事録を10年後に公表している。

【時事通信社】 〔写真説明〕金融政策決定会合後、記者会見する日本銀行の白川方明総裁(当時)=2011年4月、東京・日本橋本石町の日銀本店

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