- 2021/08/31 掲載
銀行界、対策底上げ急務=顧客管理徹底が課題―マネーロンダリングやテロ資金
2001年の米同時テロ以降、金融機関はマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与の対策を強く求められている。金融活動作業部会(FATF)は対日審査で、金融機関に対し継続的な顧客管理などに優先して取り組むよう要求。国際的に邦銀の対策が不十分と見なされれば、海外送金や国際業務に悪影響が及ぶ恐れもある。大手だけではなく地方銀行を含む対策の底上げが急務だ。
国内金融機関にとっては、顧客情報の把握徹底やシステムの共同化などの対策強化が課題だ。金融庁は18年、金融機関向けにマネロンとテロ資金対策に関する指針を公表し、今年には24年3月までの体制整備を要請。各行は顧客のリスクに応じた管理の強化を進めている。
継続的な顧客情報の把握について、各行はリスクが高いとみられる口座の保有者に手紙を送付するといった方法で現住所などの確認に努めている。ただ、返答率は「2~3割程度」(銀行関係者)にとどまるとされる。あらゆる手段を活用した顧客情報の把握が求められるが、決め手となる対策は見いだせていないのが実情だ。
また、FATFは、大手銀の対策を一定程度評価する一方、地銀などを念頭に対策や理解が不十分だと指摘した。地銀は人員やシステムの投資負担能力が限られ、政府はFATFの指摘を受けて公表した行動計画に、24年春の「共同システムの実用化」を盛り込んだ。
ただ、全国銀行協会は今年7月、人工知能(AI)を活用したマネロン対策のシステム共同化の可能性について議論を開始したばかり。金融機関ごとに抱えるリスクが異なる中、共同化がどこまで進むかは未知数だ。
【時事通信社】
PR
PR
PR