- 2021/09/27 掲載
日本企業、恒大危機を警戒=直接影響は限定的
中国の不動産大手、中国恒大集団の経営危機に日本企業が警戒を強めている。恒大と大きな取引がある国内の金融機関や企業は少なく、直接の影響は限定的との見方が大勢だ。ただ、債務不履行に陥れば、世界経済に動揺が広がりかねず、政府も「分かる人がいたら教えてほしい」(麻生太郎財務相)と事態の深刻さを測りかねている。
金融業界関係者によると、恒大の主な借入先は中国の金融機関が多く、日本の主要な銀行や保険会社、証券会社による大規模な投資や融資の例はない。金融機関の関係者は「日本の投資家に直接大きな影響が出るとは思っていない」と指摘。一方で、恒大の社債の返済状況を注視する必要があるとの認識を示す。
建設業界でも恒大と直接取引があるケースは見当たらず、日本建設業連合会の宮本洋一会長(清水建設会長)は「現実に問題があるという話は聞いていない」と語る。日本船主協会の池田潤一郎会長(商船三井会長)は22日の記者会見で、中国経済全体が冷え込めば中国の輸出入に関わる日本の海運業も打撃は避けられないと説明。その上で「中国政府が恒大をどれだけ支援するかにも懸かっている」との見方を示した。
恒大は33兆円に相当する債務を抱え、資金難から23日にドル建て社債の利息を支払えなかったとされる。期日から30日以内に払えないと債務不履行になるが、返済原資を捻出するための事業売却などが期限内に実現するかは見通せない状況だ。
【時事通信社】 〔写真説明〕日本建設業連合会の宮本洋一会長(左)と日本船主協会の池田潤一郎会長
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