- 2021/10/13 掲載
FRB、テーパリングに向け順調に進展 11月着手裏付け=当局者
FRBのクラリダ副議長は12日、国際金融協会(IIF)のオンライン年次総会での講演で、「『実質的な一段の進展』という基準について、物価安定目標はすでに十分達成されており、雇用目標もほぼ達成していると確信している」と指摘。テーパリング(量的緩和の縮小)は「間もなく正当化されるかもしれない」と述べた。テーパリング終了時期については来年半ばとのFRBの見解を改めて示した。
また、アトランタ地区連銀のボスティック総裁は9月の雇用統計で十分な進展が示されたとし、11月のテーパリング開始を支持。英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、「11月の(テーパリング)開始に懸念はない」と述べた。
米労働省が8日発表した9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万4000人増だった。9カ月ぶりの小幅な増加にとどまり、市場予想の50万人増を大きく下回った。ただ、8月の雇用者数は当初の23万5000人増から36万6000人増へ上方改定された。
FRBは前回のFOMCで今年末の失業率予想を4.8%としたが、9月時点ですでに達成した。
<改善を続ける経済>
クラリダ氏は、米経済は強化され「労働市場を巡る状況は引き続き改善している」としたものの、パンデミック(世界的大流行)が引き続き雇用と労働参加率の重しになっているとした。
また、ボスティック氏はピーターソン国際経済研究所のオンラインイベントでの講演で、金融市場は現在、円滑に機能しており、流動性も十分にあるため、テーパリングが市場や経済に悪影響を及ぼす可能性は最小限に抑えられていると指摘。「実際、米経済には大きなポジティブモメンタムがあると思う」とした。
一方、クラリダ氏は質疑応答で「目下、大きく未知なのは、ボトルネックの影響が解消されるまでにどれだけの時間がかかるかということだ。ただ、個人的な基本シナリオでは中期的にスタグフレーションにはならない」とした。
FRBの想定通りインフレ率が来年鈍化しなければ、FRBは労働市場が完全に回復する前に利上げを余儀なくされる可能性がある。クラリダ氏は「インフレリスクは上向きだ」と認めた上で、FRBが2つの責務のどちらかを選択しなければならないとの見方を重要視せず、インフレ期待は依然固定されているとした。
ボスティック氏はインフレ高進を監視する必要があるものの、FRBの政策金利に対する姿勢に影響を与える段階ではないと言及。「高インフレが経済に悪影響を与えているという兆候は見られず、金利に対するFRBの政策スタンスに疑問を投げかけるものではない」とし、FRBが政策金利をゼロ近傍から引き上げるには1年以上かかるとの見通しを示した。
次回のFOMCは11月2─3日に開催される。
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