- 2021/11/19 掲載
東芝分割計画に株主反発=非上場化「検討不十分」―総会へ対立激化も
東芝は今月公表した中期経営計画に、2023年度下半期に上場3社への分割を目指す方針を盛り込んだ。抜本的な企業価値向上策を重視する海外株主の要望に応えた形だが、一部株主は非上場化の検討が不十分と反発している。東芝は来年1~3月の間に臨時株主総会を開いて株主の意向を確認する予定で、異論を唱える「物言う株主」との間で対立が再び激化する可能性がある。
計画の策定では、社外取締役5人で構成する戦略委員会(ポール・ブロフ委員長)が中心的役割を担った。今年6月の同委発足以降、株主や投資ファンドなどを交え50回以上協議し、東芝執行部の提案を方向付けた。
協議の過程で株主が強く検討を求めた案の一つが、投資ファンドによる買収を通じた非上場化だ。ファンドが一定の価格を上乗せして株式を買い取り、いったん上場を廃止した上で、企業価値を向上させ、数年後に株式を再上場する。既存株主は現在の株価より高値で株を手放せる一方、企業は短期的な業績を気にせず大胆な改革ができる。
戦略委は8月以降、有力ファンド5社と非上場化の可能性を探った。しかし、ファンド側は、規制当局の審査などをめぐる情勢が不透明と指摘。東芝執行部も非上場化による採用への影響や顧客離れに懸念を示したという。
東芝の上場を維持したまま少数株主として出資する意向を示したファンドもあったが、戦略委は他の株主との公平性の観点で断念した。一方の分割案は税制上の利点があり、見えにくくなっている事業の価値を顕在化できるとして、取締役会に推奨した。
しかし、ある大株主は取材に対し「分割後の会社を誰が経営し、誰が監督するのか説明されていない」と批判。経営者の交代を求められる可能性が高い非上場化を選択しなかったのは「経営陣の保身だ」と不信感をあらわにした。
一方、筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントは13日付の声明で「真摯(しんし)に検討を進め、臨時総会までに賛否を判断する」とコメントした。東芝が株主を説得できなければ経営の混迷は一段と深まることになる。
【時事通信社】 〔写真説明〕「TOSHIBA」のロゴマーク=4月14日、東京都港区
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