- 2021/11/25 掲載
メキシコ大統領、次期中銀総裁に初の女性指名 突然の変更でペソ急落
ロペスオブラドール大統領から6月に次期中銀総裁に指名されていたエレラ氏は23日、ロペスオブラドール氏から先週に指名を「考え直すことを決めた」と告げられたと明らかにした。
今回の人事は、多くの政府当局者にとっても寝耳に水の展開。市場では金融政策運営の先行き不透明感が強まり、通貨ペソは一時対ドルで2%強も下落した。IHSマークイットによると、メキシコ国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)5年物のスプレッドは112ベーシスポイント(bp)に拡大、対米国債利回りスプレッドは10月初め以来の大きさとなる365bpに達した。
ロドリゲス氏はロペスオブラドール氏のメキシコ市長時代に市政で登用され、その後も同市政で出世してきた人物。しかし、財務省ではこれまで目立った存在ではない。このため一部のアナリストは、ロドリゲス氏が中銀の独立性を十分に保てないのではないかと懸念している。
ベアリングスの新興国社債責任者オモチュンデ・ラワル氏は「だからこそペソが値下がりしたと思う。市場関係者は、この人事が(ロペスオブラドール氏による)中銀への間接的な介入の手段になることを心配している」と指摘した。
ロペスオブラドール氏は、中銀総裁人事を変更した理由は明らかにしていない。一方でロドリゲス氏については、独立的に行動するだろうと述べ、同氏の政府も中銀の独立性を尊重していると強調した。
エレラ氏が何か不正をしたのかと質問されたロペスオブラドール氏はこれを否定するとともに、自身が女性を起用しようという意思を強く持っていて、諸状況を踏まえるとロドリゲス氏が最適だとの判断に至ったと説明した。
さらにロペスオブラドール氏は、今回の「変心」がペソに打撃を与えるとの見方について、「これまで中銀の決定において政府、財務省による干渉は一度もなかった。私も決してそんなことはしない」と言い切った。
ロドリゲス氏は、今年末に任期が切れるディアス・デ・レオン中銀総裁の後を引き継ぐ見通し。正式就任には上院の承認が必要だが、上院は与党勢力が多数派のため、形式的な手続きにとどまるとみられている。
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