- 2021/12/15 掲載
前途多難の船出=関西スーパー、統合効果不透明
関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリンググループの統合をめぐるオーケー(横浜市)との法廷闘争は、関西スーパー側の勝利で終結した。統合を認めた10月の臨時株主総会での議決権の扱いが争点となったが、法人株主の賛否で決議が左右される事態になったのは、関西スーパー側が示した統合効果が株主に十分理解されなかったためだ。少子高齢化などで業界を取り巻く状況は厳しく、前途多難な中での船出となる。
H2Oは、関西を中心に圧倒的なブランド力を持つ阪急と阪神の両百貨店が事業の中心だ。しかし、百貨店業界全体では、「ユニクロ」や「ニトリ」など価格競争力に勝る専門店の台頭で業績は低迷している。収益安定化へ食品に強みを持つH2Oは、スーパー事業を第2の柱にしようと力を入れている。
H2O首脳は「システム更新などでスーパーには一定の事業規模が不可欠」と指摘する。規模拡大のため2014年には関西地盤のスーパーのイズミヤ(大阪市)を傘下に収め、グループのスーパー、阪急オアシス(同)との統合を急ぐ。H2Oは関西スーパーを加えた3社連合の統合効果が本格化するのは24年度以降と説明する。ただ、関西スーパーの一部株主の目には収益への貢献が緩慢に映ったのは否めない。
H2Oは、傘下に3社ブランドのスーパーを存続させる意向だ。中堅スーパー幹部は「客層の違う百貨店のノウハウをスーパーに生かせるかは不透明だ。統合してもシステムやブランド統一を急がないと薄利多売のスーパーで利益を拡大するのは難しい」との見方を示す。関東のスーパー首脳も「3社が一緒になったところでうまくいくはずがない」と手厳しい。統合の成否は3社が融合し、互いの強みを最大限引き出せるかに懸かっている。
【時事通信社】 〔写真説明〕上:関西スーパーマーケットの看板(左)とエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングのロゴマーク
下:オーケーのロゴマーク
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