- 2021/12/23 掲載
EU、新型コロナ復興基金返済に3つの税制導入提案
1つ目の施策は、新たなカーボンマーケット(炭素市場)の下で建物や自動車の燃料から排出される二酸化炭素(CO2)に課税する。一方、EUの既存の炭素取引システムを利用して船舶にCO2コストを課し、航空会社からの既存の枠組みでの支払いを増やす。
欧州委の提案によると、現在は主に各国政府に支払われているCO2収入のうち4分の1が将来的にEU予算に入り、2026年から30年までの平均で年間120億ユーロの歳入を見込む。
2つ目は、CO2排出基準が緩い国からの輸入品に対してCO2関連の課税をする。その収益の4分の3がEU予算に入り、26年から30年までの平均で年間10億ユーロを拠出できるとした。
3つ目は20カ国・地域(G20)と経済協力開発機構(OECD)が合意した課税権の再配分に基づき、大規模な多国籍企業の残余利益のうち15%をEU予算に与える。
これらの歳入は年間25億─40億ユーロになると見込む。
EUの新型コロナ復興基金は58年までに返済される予定。
ハーン欧州委員(予算・管理)は、この債務返済のために次のEU予算での多額の歳出を避けるため、各国政府は新税制に同意する強い動機付けがあると指摘した。
欧州委の提案は、欧州議会とEU加盟国による協議が必要。同様の提案を含む第2次パッケージは23年に予定されている。
しかし、各国は既にこの提案を巡って争っている。
ポーランドのモスクワ気候相は20日のEU閣僚会議で、新たな炭素市場は弱い立場にある市民の負担増を強いるものであり、受け入れられないと語った。
欧州委はEUの新税制の一部を活用し、低所得者の家計を潜在的なコストから守るための基金を形成すべきだとしている。エネルギー費用を抑えるための住宅改修の助成などを例示している。
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