- 2021/12/24 掲載
経済被害推計、最大31.3兆円=GDPの6%、供給網に打撃―日本・千島海溝地震
政府の中央防災会議が21日発表した日本海溝・千島海溝地震の被害想定は、建物の損壊や生産活動の停滞など経済的被害額の合計が最大で国内総生産(GDP)の約6%に当たる31兆3000億円に達すると見込んだ。サプライチェーン(供給網)や電力供給にも深刻な影響が出る恐れがあると指摘し、早めの備えを呼び掛けている。
日本海溝で冬の夕方に地震が起き、津波から早期に避難できた人が日中に比べて少ない場合、被害は最大になる。被害は北海道と青森、岩手、宮城各県が多く、建物など資産の損壊に伴う損害が25兆3000億円と大半を占める。加えて、生産活動やサービスの低下により全国で6兆円の影響が出る見通しだ。
被災した工場が停止し、代替生産が難しい部品の供給が滞ることが予想される。物流の寸断で燃料や素材の調達も難しくなり、数週間にわたり全国の生産活動に支障が出る。復旧が遅れれば関係企業が調達先を海外に切り替え、国内産業の空洞化が進む懸念もある。
発電設備の損傷で計画停電などを強いられる恐れもある。風評被害による観光客離れや銀行の決済システムの混乱といった幅広い分野に影響が及びそうだ。
一方、建物の耐震化や津波からの早期避難などの対策を進めれば、生産活動やサービスの低下に伴う6兆円の影響を4分の1程度に軽減できると推計した。
民間企業も対応を迫られる。ニコンの広報担当者は、グループ会社の生産拠点が東日本大震災で被災した経験を踏まえ、「災害時にどう動くかという心構えが大事だ。消火作業や避難の訓練を定期的に実施し、地震に備えている」と話している。
【時事通信社】 〔写真説明〕地震と津波で壊滅的被害を受けた地区に立てられた避難所を案内する看板=2011年、宮城県石巻市
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