- 2022/02/09 掲載
賃金が持続的に上昇するまで、金融緩和続けるべき=中村日銀委員
[東京 9日 ロイター] - 日銀の中村豊明審議委員は9日午後、山梨県金融経済懇談会後の記者会見で、賃金が持続的に上がる状況になるまで粘り強く金融緩和を続けるべきだと述べた。一方、ドル/円相場が103―115円程度のレンジ内で安定的に推移するなら、日本経済にとってはトータルでプラスだと指摘した。
<3%賃上げは現実的でない>
中村委員は、少しずつ価格転嫁が進む中で持続的に賃金が上がっていけば、欧米の状況と似た形になってくるとの見方を示した。ただ、全ての企業が岸田政権が求める3%の賃上げを実施するのは「現実的ではない」と指摘。まずは好業績のリーディング企業が賃上げを実施し、それが広がっていくことを期待しているという。
中村委員は「賃上げした企業が、設備・ソフトウエア・人材といった将来に向けた投資も一緒にすることで、従業員の将来に向けた安心感も出てくるだろう。これが続くことで、国内の消費支出が増えてくる」と語った。
<為替、「かなり安定」>
中村委員は、かつて日立製作所で最高財務責任者(CFO)を務めるなど企業経営に携わってきた。会見では、為替相場が安定していれば企業経営者は意思決定しやすいと強調。2020年以降、ドル/円はおおむね103円―115円程度のレンジ内での値動きで、「過去と比べるとかなり安定したレベルで推移している」との見方を示した。
新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大で「部品の供給制約は簡単にはなくならない」と指摘。今年も半導体の供給制約は続くと述べた。
一方、3回目のコロナワクチン接種の進展で5月の連休や夏休み期間に個人消費のペントアップ需要が盛り上がることに期待感を示した。
(和田崇彦 編集:橋本浩、田中志保)
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