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  • 2025/05/12 掲載

GPT-4.1、Claude 3.7 Sonnet、Gemini 2.5 Pro、Grok 3、用途別で見るベストLLMとは?

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2025年5月時点、生成AI市場では、主要各社がリリースした4つのフラッグシップ大規模言語モデル(LLM)がしのぎを削っている。その4つとは、OpenAIの「GPT-4.1」、アンソロピックの「Claude 3.7 Sonnet」、グーグルの「Gemini 2.5 Pro」、xAIの「Grok 3」だ。それぞれどのような特徴と強みを持つのか、利用用途別に詳しく比較してみた。
執筆:細谷 元  構成:ビジネス+IT編集部
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それぞれの強みと現時点での最適な利用用途

チャットボット性能の頂点へ、4大LLMの実力を徹底比較

 まずカスタマーサポート分野では、各モデルはどのような強みを発揮するのか、それぞれの特徴を解説したい。

 この分野で、特に注目されるのがグーグルのGemini 2.5 Proだ。

 同モデルは、チャットボットの総合評価を行うChatbot Arenaのリーダーボードで首位を獲得。人間による評価で、他のモデルを大きく引き離す実力を示している。この結果は、より自然な対話が可能になったことを示唆するもので、特に一般消費者向けのカスタマーサポートでの活用が期待される。

 OpenAIのGPT-4.1も、その実力は群を抜くとの評価だ。同モデルは、マルチターンの対話品質を向上させるチューニングを重ね、前モデルと比較して10.5%性能が向上した。会話の文脈を正確に把握し、過去の発言内容を適切に参照できる能力が大幅に改善されたという。この特性は、複雑な問い合わせが多い金融や医療分野のサポートで特に威力を発揮する可能性が高い。

 一方、アンソロピックのClaude 3.7 Sonnetは、20万トークン(英語約15万ワード)という広大なコンテキストウィンドウを特徴とする。これにより、長時間の対話履歴や大量の知識ベース記事を一度に処理することが可能となり、カスタマーサポートなどの実用シーンで優位性を発揮すると評価されている。特に、製品マニュアルや社内規定など、大量の参照文書が必要となる技術サポート分野での活用が見込まれる。

 xAIのGrok 3も、その会話能力の高さに定評を得ている。Geminiのリリース以前には、ベータ版(コードネーム:chocolate)がChatbot Arenaで首位を獲得。チャットボット同士の対戦では1402のEloレーティングを記録し、対話品質において他モデルを圧倒する結果を残した。この高い対話能力により、特に若年層向けのカジュアルなサポート場面で力を発揮することが想定される。

 各モデルの特徴は、そのスタイルと安全性にも表れている。Claude 3.7は、アンソロピックの「Constitutional AI」によって調整され、不当な要求の拒否率が前モデルから45%減少。カスタマーサービスの円滑な運用に寄与できると考えられる。GPT-4.1は創造性やユーモア、ニュアンスの理解に優れ、ユーザーの感情に寄り添った応答が可能だ。Grok 3は事実に基づく正確な情報提供を重視し、状況に応じて柔軟にトーンを調整できる特徴を持つ。これらの特性は、金融や医療など、高い正確性と安全性が求められる分野で重宝される。

 これらのLLMは、サポートチケットの選別や感情分析においても高い性能を発揮する。セールスフォースの調査によると、AIサポートエージェントの効果的な運用には、人間への引き継ぎのタイミングを見極める能力が重要となる。4つのモデルはいずれも、会話の複雑さやカスタマーの感情を正確に読み取り、適切なタイミングでの人間への引き継ぎを可能としている。この機能は、大規模なコールセンター運営において、効率的な人的リソース配分を実現する上で特に有用となるはずだ。

コーディング性能での「ベストチョイス」とは?

 コーディング支援の分野では、主要4モデルの実力差が鮮明になる。

 やはり、この分野でベストチョイスとなるのは、Claude 3.7 Sonnetだろう。同社が「これまでで最高のコーディングモデル」と位置付けるClaude 3.7は、AIコーディング支援ツールCursorによる評価でも「実務的なコーディングタスクで最高峰」との評価を獲得した。

 特に注目すべきは、コードベースの問題修正能力を測定するSWE-Benchでの性能だ。通常モードで約62%の正確性を達成し、さらに「拡張思考」モードを活用した場合には約70%まで性能が向上。グーグルディープマインドのモデルやOpenAIのGPT-4.1を上回る数値を記録した。この性能は、大規模なコードベースを扱う企業での活用において、特に有用性が高いと考えられる。

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Claude 3.7 Sonnetのコーディングベンチマーク比較
(出典:アンソロピック


 一方、OpenAIのGPT-4.1も、前モデルから大幅な進化を遂げている。SWE-Benchでは54.6%のタスク解決率を記録し、前モデルの33.2%から飛躍的に向上した。特に、コードの差分(編集)生成において2倍以上のスコア向上を達成している。この能力は、既存のコードベースの保守や改修作業において、大きな価値を持つことが予想される。

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GPT-4.1のコーディングテストスコア
(出典:OpenAIのWebサイト


 グーグルのGemini 2.5 Proも、コーディング支援において独自の強みを発揮する。特に自動化エージェントと組み合わせた場合、SWE-Benchで63.8%のスコアを記録。複数のファイルを扱う複雑なコーディングタスクでの高い能力を示した。Webアプリケーションの開発支援において、優れた能力を発揮することが想定される。

 Grok 3は、「Think」モードを活用することで、コード生成とプログラム解決を評価するLiveCodeBenchで79.4%という高スコアを達成。このモードは、数分間にわたって思考を重ね、エラーの修正や代替案の探索を行うことができ、特に複雑なアルゴリズムの実装や最適化が必要なシーンで活躍する可能性が高い。

 実際の開発現場からのフィードバックも、これらの結果を裏付けている。RepilitやCanvaの開発者らは、Claude 3.7について「優れた設計センスを持つ本番用コードの生成が可能」と報告。他のモデルが苦戦するような完全なWebアプリケーションの構築までも実現できる点を高く評価している。スタートアップや中小企業での開発リソース効率化に大きく貢献することが期待される。 【次ページ】コンテンツ生成の新時代、4モデルが示す独自の強み
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