- 2022/02/16 掲載
金利上限0.25%、未来永劫変えないと言うつもりない=黒田日銀総裁
[東京 16日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は16日の衆院予算委員会第一分科会で、現時点でバランスシートや政策金利の調整を検討する段階ではないとしつつ、現在、10年で0.25%としている長期金利の上限を「未来永劫変えないと言うつもりはない」と発言した。階猛委員(立憲)への答弁。
<イールドカーブ、一定の傾き必要と理解>
階委員は欧米の中央銀行が金融緩和からの出口、利上げを模索する中、日銀の異次元緩和は2%の物価目標を達成しておらず、低金利の長期化により民間金融機関や日銀の収益悪化を招きながら、緩和継続が自己目的化していると批判した。
黒田総裁は、日銀が現在行っている金融政策、長短金利操作(YCC、イールドカーブ・コントロール)付き金融緩和は、適切なイールドカーブ(利回り曲線)の傾きを実現するのが目的と説明し、20年や30年の金利を下げても設備投資の刺激効果は少ない一方で年金収益などは悪化すると指摘した。
その上で「イールドカーブが極度にスティープ化する必要はないが、一定の傾きをもって、長期のものほど金利が高いという形にすることがあることは理解している」と述べ、政策運営は「経済・物価にポジティブな影響を与えつつ、他方で、国債市場の機能度を過度に損なうことがないよう念頭に置いている」と説明した。
同時に「(長期金利の変動上限)プラスマイナス0.25%を変えるつもりはないが、未来永劫絶対変えられないというものではないと思う」と語った。
欧米中銀と異なり、日銀が大規模緩和からの出口を模索しない理由について、消費者物価の上昇幅が米国の7%、欧州の5%程度と比べ、日本は0.5%程度にとどまっているためと説明した。
<今度も同様な状況なら、指し値オペ使う>
14日に実施した指し値オペに関しては、海外の長期金利の急速な上昇により異例な状況だったためと背景を説明。今後も同様な状況では、当然、指し値オペを使うと言明した。
指し値オペで必要ならば無制限に国債を買うのかとの質問に対して「必要な国債買い入れ額は需給や市場動向で変わる」と答えた。
<大規模緩和なければ金融機関にもマイナス>
黒田総裁は、2013年に始まった大規模金融緩和の成果について「経済活動を明確に押し上げ、デフレではない状況を実現、設備投資のための借り入れを通じて貸し出しの増加につながった」「仮に大規模緩和がなかったと想定すると、経済の停滞が長期化し、デフレも継続したと考えられ、金融機関経営にもマイナスの影響を与えていた」と分析。低金利の長期化が金融機関の収益を圧迫したとの見方を否定した。
2023年4月の総裁任期との関連で金融緩和からの出口政策を採る必要はないとも語った。
日銀の気候変動対応オペは、金融機関の利用残高に応じて付利を提供しているが、「金融機関の収益支援や副作用対応として行っているものではない」と説明した。
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