• 2025/08/30 掲載

会計士もエンジニアも終了…MITやBCGが考える「ヒトにしかできない」5つのこと

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会計士からエンジニアまで、かつて専門性の砦とされた職種でAI代替が加速している。トムソン・ロイターの調査では、会計事務所でのAI導入率が2024年の8%から2025年には21%へ急増する見通しだ。一方で、AIが苦手とする人間固有の領域も明確化してきた。MITが定義する「ヒトにしかできない」5つの能力を軸に、BCGが示す協働スキルから個人の実践戦略まで、AI時代のサバイバル術を詳しく解説する。
執筆:細谷 元

細谷 元

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

  構成:ビジネス+IT編集部
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知識労働者の多くはAIに置き換えられる
(Photo/Shutterstock.com)

「12.5億人の知識労働者」を襲うAI代替の現実的タイムライン

 世界で12億5000万人、米国だけでも1億人以上が従事する知識労働。その根幹が今、AIによって揺らいでいる。デロイトの最新調査によれば、2025年には生成AIを活用する企業の25%がエージェンティックAIの実証実験を開始し、2027年には50%まで拡大する見通しだ。

 すでに現場では「部分的代替」が進行している。ソフトウェア開発の現場では、高成長SaaS企業のCTOが「コードの90%近くがAI生成になった」と報告。わずか1年前の10~15%から飛躍的な増加を見せている。

 会計分野では、世界経済フォーラムが今後5年間で会計・簿記・給与計算職が7番目に急速に減少する職種になると予測。エンジニアから会計士まで、かつて「専門性の砦」とされた領域でAI代替が加速している。

 この変化を牽引するのが、エージェンティックAIの急速な進化だ。従来のチャットボットとは一線を画すこの技術は、複雑なタスクを自律的に分解・実行し、予期せぬ障害にも対処できる。Cognitionの「Devin」は、自然言語の指示から実行可能なコードを生成し、アプリケーション設計からバグ修正まで、数千の意思決定を要する複雑なエンジニアリングタスクを自律的に完遂する能力を持つ。Windsurfの買収により、エージェント能力をさらに拡張する構えだ。

 2026年から2028年にかけて、企業は本格的な「大規模代替フェーズ」に突入すると予測される。a16zの調査では、企業のLLM(大規模言語モデル)予算が年間75%の成長を続け、ある大手テクノロジー企業は「2023年に年間で使っていた予算を今では1週間で消費している」状況だ。この投資の行き先は明確だ。内部業務の自動化から顧客対応へ、そして知識労働の中核業務へと、AIの適用範囲は着実に拡大している。

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AIによる自動化が進む中でのヒトの役割とは

(Photo/Shutterstock.com)

MITの研究チームが提唱する「EPOCH」フレームワーク

 AIによる雇用代替の第一波が、すでに明確な境界線を描き始めている事実は無視できない。

 トムソン・ロイターの最新調査が示す現実は衝撃的だ。会計事務所でのAI導入率は2024年の8%から2025年には21%へと急増。税務リサーチ、申告書作成、会計・簿記業務など、かつて専門性の象徴だった業務がAIの主戦場となっている。

 消える仕事の特徴は明確だ。定型的なデータ分析、文書作成、コード生成など「パターン化可能な知的作業」が真っ先にAIに置き換わっている。顧客対応の現場では、従来型コンタクトセンターから「AIファースト」モデルへの転換が加速。AIが最上位レイヤーとして全顧客接点を統括し、複数のAIモデルを使い分けながら顧客ニーズを予測・対応する体制が確立されつつある。

 一方で、人間の領域として残る仕事も明確化してきた。MITの研究チームが提唱する「EPOCH」フレームワークは、AIが苦手とする人間固有の能力を5つに分類。共感と感情知性、物理的存在とネットワーキング、意見・判断・倫理、創造性と想像力、そして希望・ビジョン・リーダーシップだ。これらの能力が必要な職種では、むしろ雇用が増加傾向にある。

共感と感情知能
 AIは感情を察知できるかもしれないが、人間は意味のあるつながりを築き、相手の経験を共有することができる。ソーシャルワーカーや教育といった職業は、このことをよく示している

存在感、ネットワーキング、そして繋がり
 看護やジャーナリズムといった職業は、つながりを築き、イノベーションを促進し、同僚と協働する上で、物理的な存在がいかに重要であるかを反映している

意見、判断、そして倫理
 人間は法曹界や科学業界といったオープンエンド(終わりや答えがない)システムの中で生き生きと働くことができるが、AIは説明責任や責任といった概念を理解するのに苦労している

創造性と想像力
 ユーモア、即興性、そして研究者の言葉を借りれば「現実を超えた可能性を視覚化すること」は、人間特有の能力だ。これらは特にデザインや科学研究において貴重である

希望、ビジョン、そしてリーダーシップ
 粘り強さ、忍耐力、そして自発性は、人間の精神をさらに体現するものだ。これは、新しい会社を立ち上げるなど、成功の可能性が低いにもかかわらず、挑戦することを意味する

 この文脈で「新たな専門職」が出現している事実にも目を向けるべきだろう。AI監視・調整・最適化を担う役割が急速に拡大しているのだ。

 Glassdoorのデータによれば、AI関連職の求人は2023年から2024年で2倍以上に増加。2025年も前年同期比56%の成長を続けている。AIトレーニング職は2024年に4倍以上の成長を記録。外国語や特定分野の専門知識を活かしてAIを最適化する、まったく新しいキャリアパスが生まれている。

 この変化は単純な「人間対AI」の構図ではない。AIファーストのコンタクトセンターでは、AIが定型業務を処理することで、人間エージェントは「魂を削るような単調作業」から解放され、共感や問題解決能力が必要な複雑な対応に集中できるようになった。会計分野でも、AIがデータ処理を担う一方、戦略的アドバイザリー業務への需要が高まっている。 【次ページ】BCG「AIと協働する人材」に必須の具体的スキル4つ
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